ETTEILLA(エッティラ/エテイヤ)について
Etteilla(エッティラ/エテイヤ)は、18世紀フランスで活躍した占い師の名前で、現代のタロット占いの基礎を作りポピュラーにした人物だといわれています。
本名はJean-Baptiste Alliette(ジャン-バプティスト アリエト)
「Etteilla」は、Allietteを逆読みした源氏名だと思われます。
ちなみに、フランス語の読み方は基本的にローマ字読みで、小さい「つ」のような促音はありません。また「ill」は半音になるので、日本語だと「ヤ」が近いでしょう。
「Etteilla」のことを日本では「エッティラ」と読まれることが多いようですが、フランス人なので、ここではフランス語読みに近い「エテイヤ」と読んでいきたいと思います。
さて。
フランスのWIKIPEDIAによれば、Naissance(誕生)が1738で、Décès(死亡)が1791とされていますから、ちょうどフランス革命(バスティーユ襲撃事件)の1787年7月14日はギリギリ経験しているところ。
革命前の不穏なパリに生きていたことになります。
ETTEILLA(エッティラ/エテイヤ)の作ったタロットと彼の書いた本、エッティラのタロットカードにまつわる本たち
そんな彼。
実は「GRAND ETTEIILA」といわれるタロットカードを作り、カードに関する出版物を出しています。
タロットの歴史書ともいえる、伊泉龍一氏の「タロット大全」によると、「この本はカード占いの歴史という点から見て非常に画期的なものである。というのも、現代に通じるカード占い方法を記述したはじめての正式な出版物だからだ」とあります。
またその本の名前は「Etteilla, ou manière de se récréer avec de cartes par Mr ※※※」とされていますが……
同じタイトルの本を探してみたけれど、どうしても見つからず、でも、これを見つけました。
「Etteilla, ou la Seule Manière de Tirer les Cartes」
でもこの本は、タロットカードというよりも、トランプを占いのカードとして使うにはどうするか? といったことが書かれていて、エテイヤが作ったタロットカードには触れられていません。
そんな中、もうひとつ見つけたのがこれ↓
「Manière de se récréer avec le jeu de cartes nommées tarots」
1783年出版でエテイヤのサインがあるこの著作物。
本としての体裁があるものは入手が難しく断念。
あるのはあるんです。でも……古書でむちゃくちゃ高い!!
とはいっても読んでみたい!
と探したら……さすがおフランス!
フランスの国立図書館の電子図書館からPDFがダウンロードできるんです!!
ここには、エテイヤが作ったタロットカードについての記述がありました。それこそ、影響を受けたといわれるクール・ド・ジェブランのタロットカードのエジプト起源説に関連した内容もちらほら出ています。
(クール・ド・ジェブランがタロットカードのエジプト起源説について書いた「原始世界」のVol8も、電子図書館からダウンロードができますヨ)
たしかに、クール・ド・ジェブランの内容は、シャンポリオンがロゼッタストーンを解読する以前のものであり、信憑性に欠けているといわれていますが……それでも!
やっぱり、現代のタロティストとしては、また、フランス革命前のフランスで一世を風靡したエテイヤの考え方に興味は尽きません。
ちなみに、エテイヤの死後19世紀(1853年と言われてます)に、Julia ORSINIが、「Le Grand Etteila, ou l’Art de Tirer les Cartes」という本を出しています。
これも現物が入手しがたく、フランス国立図書館の電子図書館にお世話になっているわけですが……「D’après la Méthode de Mademoiselle LENORMAND」と!
19世紀フランスで最も有名な占い師、マドモアゼル・ルノルマンの名前が載っています。
伊泉氏の「タロット大全」によれば、フランス革命初期の中心的指導者だったミラボーも顧客だったとか、ナポレオンとジョゼフィーヌの離婚を予言したとか……さまざまな逸話がある占い師さん。
「D’après la Méthode de Mademoiselle LENORMAND」を直訳すれば、「マドモアゼル・ルノルマンのメソッドによれば」だから、ORSINIの書いた本は、マドモアゼル・ルノルマンが使っていたエテイヤタロットの占い方が書かれている、といってもいいでしょう。
また1853年といえば、日本はペリー来航の年。この年に出版されたこの本には、「パリやロンドン、ニューヨーク以外にメキシコやエジプト、アジアでは中国の上海で販売」とまで書かれていますから、なかなかに国際的な本です。
そんな本たちと、現代に出版されているエテイヤの本。
これらの本を元にして、エテイヤのタロットカード「GRAND ETTEILLA」の意味を探っていきたいと思います。
なお、私の元にあるGRAND ETTEILLAはGrimaudの1969年もののため、写真のカードが最新版と若干の違いがあるかもしれません。ご了承ください。
ETTEILLA(エッティラ/エテイヤ)のタロットを読むための参考書
①「Manière de se récréer avec le jeu de cartes nommées tarots」(1783年)
→フランス国立図書館の電子図書館GallicaよりPDFがダウンロードできます。(古いフランス語なので、読むのに時間がかかるかもしれません)
なお、この本はカードの意味を個別に解釈しているわけではなく、エテイヤの思想が書かれています。
②「Le Grand Etteila, ou l’Art de Tirer les Cartes」(1853年)
→フランス国立図書館の電子図書館GallicaよりPDFがダウンロードできます。
こちらは、カードの扱い方(展開の方法)からカードの意味まで分かりやすく書かれています。また、意外と読みやすいです。
③「LE GRAND ETTELLA – tarots égyptiens」(1993年)
※この本はAmazonでも在庫切れのようです。
こちらの本には、スプレッドとカードの意味が端的にまとめられています。
③「Le grand livre de L’Etteilla – tarots égyptiens」(2005年)
※この本はAmazonで販売されてます↓
こちらの本では、正位置・逆位置ともに、3つの観点からカードの意味がまとめられています。ORSINIの本の次に、参考になる本です。
GRAND ETTEILLA(グランエッティラ):エテイヤのタロットカードの意味
ここからは、エテイヤのタロットカードの意味についてまとめます。
カードごとに、下記3つの本に書かれている内容を訳し、個別記事で掲載しています。
- 「Le Grand Etteila, ou l’Art de Tirer les Cartes」(1853年)
- 「Le grand livre de L’Etteilla – tarots égyptiens」(2005年)
- 「LE GRAND ETTELLA – tarots égyptiens」(1993年)
なお、日本語にする際のニュアンスをつかみにくいと感じた箇所や、訳す際に難しいと感じた箇所については、注意書きとして原文を掲載してます。
なので……「これ変やろ?!」のツッコみ、大歓迎です。
「こう訳せばいいんじゃない?」とか「こういうニュアンスの方がいいかも」というアドバイスがあれば、ぜひぜひコメントください!
現状、あまり日本で知られていないエテイヤのタロットですが、占術のひとつとしてタロットが親しまれるきっかけとなったこの古典のカード。現代の日本で、たくさんの人に親しまれるようになったらいいなぁ、と思っています。
No.1 カオス(混沌・大混乱:天地創造以前の世界の状態)
※Le Grand Etteila, ou l’Art de Tirer les Cartes(1853年)より
→フランス国立図書館の電子図書館GallicaよりPDFがダウンロードできます。
- カード番号:No.1
- カードタイトル:Le Chaos(カオス)
混沌・大混乱:天地創造以前の世界の状態 - 正位置:Etteilla(エテイヤ)
- 逆位置:Le Questionnant(質問者)
▶詳細はこちら:「エテイヤ(エッティラ)のタロットカード「No.1:カオス」の意味」
No.2 光
※Le Grand Etteila, ou l’Art de Tirer les Cartes(1853年)より
→フランス国立図書館の電子図書館GallicaよりPDFがダウンロードできます。
- カード番号:No.2
- カードタイトル:La Lumière(光)
- 正位置:Eclaircissement(明るくする)
1er Jour de Création(天地創造の1日目) - 逆位置:Feu(火)
2èm élément(第2エレメント;古代人が自然界を構成すると考えた基本要素)
▶詳細はこちら:「エテイヤ(エッティラ)のタロットカード「No.2:光」の意味」
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