タロットリーディング力をあげるためのおすすめ本|V.E.フランクル「夜と霧」他

タロットカードの説明は暗記をすれば誰でもできます。けれども、リーディングはそうはいきません。タロットカードのキーワードを繋げてみたところで、リーディングにはならないからです。

いかに、ご相談者様の日常とリンクをさせられるか、がとても大切です。それと、ボキャブラリーの多さです。

ご相談者様の日常とタロットカードをリンクさせるには、想像力が必要です。想像力がなければ、カードのキーワードに頼ってしまい具体的な事象を読むことができません。

またボキャブラリーが少ないと、ご相談者様に「合う」言葉で応えることができません。ご相談者様が普段使われる言葉もそうですが、ご相談者様に合わせて占い師がどれだけ場をチューニングさせられるか、にかかっています。

では、想像力に加えボキャブラリーを増やすためにはどうすればいいのか……
それが、本です。

占いやスピリチュアルな本だけではなく、歴史も物理も、哲学もビジネスも、あらゆる本を読むことはとても大切です。

「読書とは『他人の脳のかけら』を自分の脳につなげること」といわれています。たくさんの本を読み著者の脳とつながればつながるほど、たった数十年の人生経験であっても、別の人の経験がプラスされていくわけです。

ひとりが体験できる出来事は、長くて100年。90年生きたとしても30年の3人分。それなのに、鑑定では毎日たくさんのご相談者様と向き合うのが占い師です。

だからこそ占い師は、自分の経験値範囲だけの小さな枠に囚われるのではなく、広い視野に出る必要があると思っています。

さて。

1年間に50回以上の読書会を開催し、行政や企業からの依頼により本を使ったワークショップや社内研修の講師も務める、占いハウスの現役占い師。

そんな占い師が、タロットカードを深めるための本たちをご紹介します。

今回紹介するのは、V.E.フランクルの「夜と霧」と「それでも人生にイエスという」の2冊です。

夜と霧

この本は、V.E.フランクルの記したドイツ強制収容所の体験記録です。
V.E.フランクルは、フロイト、アドラーに師事したユダヤ人の精神科医。解放後は、ウィーン大学の精神科教授を務めました。

現在、新版も出版されています。
ただ新版は、旧版に掲載されている「写真と図版」がカットされている部分が多いというので、私は旧版。
収容所が解放された当時の写真だけではなく……生々しい写真もいくつか掲載されています。

フランクルが体験したことが書かれている本書。
プロローグにはこんな風に書かれています。

「一心理学者の強制収容所体験」というこの書においては、事実の報告というよりもむしろ一つの体験描写に重きがおかれている。

むしろ囚人の多くの細やかな苦悩を、換言すれば、強制収容所において、日々の生活が平均的な囚人の心にどんなに反映したか、という問題を扱うのである。

かなり……ヘビーであることは確かです。
けれども読み進めると、最後まで読まずにはいられません。

それでも人生にイエスという

この本は、強制収容所から解放された後、1946年に著者が行った講演の内容がもとになっています。
「自分自身の人生に責任を持つこと」について書かれていて、「生きるとは?」を真正面から問いかけます。

著者はいいます。

一つの可能性を選ぶということは、それ以外の何千もの可能性を「永遠」に存在しないことにすること。
それでも決断がすばらしいのは、全ての未来は瞬間ごとの自分の決断にかかっていることを知ることです。

こんにち、ほんとうは比べることはできないとはいえ、比較的ましな状況にある私たちが行いに移せないわけがありましょうか。
人生はそれ自体に意味があるわけですから、どんな状況でも人生にイエスと言う意味があります。
そればかりか、どんな状況でも人生にイエスと言うことができるのです。

「夜と霧」を読んだ後に「それでも人生にイエスという」を読むと、本の内容がぐっと沁み込んできます。
けっして楽観主義的なお話でもなく、悲観主義ばかりのお話でもありません。

しかし、私たちの想像をはるかに超える体験を経た著者が語る「どんなことも自分で決められる自由がある」という言葉から、私たちは既に自由である、ということをはっきり自覚せずにはいられなくなります。

タロットカードを扱う占い師にこれらの本をおすすめする理由

タロットカードを扱う占い師に、この二冊の本をおすすめする理由があります。

人間の極限的なリアリティが綴られているから。

特に「夜と霧」については、出来事の体験描写が生々しく綴られています。
しかも巻末の写真。

このリアリティは、想像力を広げてくれます。まるでその場にいるかのような映像が、頭のなかに広がる感覚を味わいます。

冒頭に、タロットリーディングには想像力が必要だとお話しました。

この2冊の本はまさに、タロットカードの「力」から「吊るされた男」に「死神」、「節制」を経て「悪魔」にいたり「塔」へ。
そして「星」から「月」にかわり「太陽」を抱き「審判」にたどり着く流れを体現するかのような記録であると、私は感じています。

しかもそれは、現代の日本で生活をしていれば、ほとんど得ることがない体験です。

タロットカードの大アルカナ
11:力

「力」は、「11」という数字がつくカードです。
数字の「11」は、「これまでの展開を一変させる」意味があります。

「10」でいったん実現した世界に、「プラス1」が加わる、という捉え方からきています。

タロットカード(マルセイユ版)「力」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

これまでの日常を180度変えてしまうほどの強烈な出来事が、強制収容所おくり。

国政を取り仕切る長の特別命令によって、普通に暮らしていた人々が、夜中に秘密裏に捕縛されてしまいます。

居場所や安否なども知らされない家族。
捕縛したにもかかわらず、その人がいないことを家族の集団責任とし、次第には、家族もろとも一夜にして消してしまう……

何ものかの力が加えられることによって、日常が非日常へと変化する様子を、タロットカードの「力」にみます。

タロットカードの大アルカナ
12:吊るされた男

「吊るされた男」は、身体的な拘束を受けながらも、精神的には「まだ」自由であることを表します。

もちろん、異常事態であることには変わりませんから、健全なメンタルがどれだけ持つかは、状況にかかっているといえます

タロットカード(マルセイユ版)「吊るされた男」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

拘束され列車にのせられた人々も、「アウシュビッツ」という存在だけは知っていたそうです。けれども、どこにいくかは知られていません。

そしてアウシュビッツの到着直後。その存在は知っていても、みなが「多かれ少なかれ恩赦妄想の中にあった」といいます。

「吊るされた男」は、これから待っている「死神」を知らないのですから。

タロットカードの大アルカナ
13:死神

「死神」は、破壊と創造のカードといわれています。
ポジティブに解釈をすれば、「現状を壊して生まれ変わろうとする」といえましょう。

とはいえ、やはり「死神」ですから、「生きるか死ぬか」の局面も表します。それは、死神によって生死が分けられる、といっても過言ではない状況です。

タロットカード(マルセイユ版)「死神」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

アウシュビッツに到着した人々が次に直面するのは、最初の選抜です。

ガス室送りか、もしくは、強制労働か。
ガス室送りになれば、数時間後の死が確定。強制労働になれば、数時間後の死は免れます。

アウシュビッツに到着した人々の約90%が、死の宣告をうけたそうです。
そんなことができるのは、「死神」以外にありましょうか……

タロットカードの大アルカナ
14:節制

「節制」は、自己修練を意味します。
一般的には「節度ある生活」などといわれることがありまが、このカードのポイントは、女神が持っている受け手側の水差しの標準がどこにあるのか、です。

節制をするにも、目的がないと何をどのように律していいのかわかりませんからね。

タロットカード(マルセイユ版)「節制」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

「死神」による死を免れた人々は、収容所生活が始まります。
その生活での目的は、どうやって生命の維持を試みるか。 

著者は、約3年間、試みたそうです。

タロットカードの大アルカナ
15:悪魔

欲に囚われ我を外へ押し出すのが「悪魔」です。
ひとことに「欲望」といいます。

もちろん状況によっても、あるいは、捕える側になるのか囚われる側になるのかで、その「欲」は変わるのでしょう。

タロットカード(マルセイユ版)「悪魔」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

土工として鉄道建設や道路工事に強制的に従事させられていた囚人たちは、報酬を与えられることがあったそうです。
それは煙草6本。

6本の煙草は、1週間分の命をつなぐ6杯のスープに交換できたといいます。

それを与えられたものは、大抵の場合スープと交換するそうですが、なかには、煙草を享受する者もいたそうです。
周りの者は、煙草を享受した者は生き続けることを放棄したのだ、と理解するといいます。

「悪魔」が表す究極的な欲望とは、「生命維持」なのだと思わずにはいられません。その望みを失うとき、他の「欲」で代替えしようとするのは、人の性でしょうか。

タロットカードの大アルカナ
16:塔

「塔」は、自分ではどうしようもない力によって、表面的なものが壊されることを表します。
建物を支える柱や土台は、ぶれなければ残ります。

建前は崩れ去り、本音だけが残されるのです。

タロットカード(マルセイユ版)「塔」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

著者は、ひとりの仲間とともに収容所から脱走を計画したことがあるそうです。
ですが、結局それは実行されませんでした。

医者として全力で診ていた危篤状態の同郷人に見透かされ、留まったそうです。もちろん、仲間も説得して。

収容所生活がどれほど続くのかも分からないなかで、それでも、内面的には今までになかったほど安らかだったといいます。

これを読んだとき、著者の崩れずに残った「塔」の柱を見る思いでした。

タロットカードの大アルカナ
17:星

「星」は、希望のカードです。
未来を信じて夢を描く様子が表されています。

「星」のカードの女神が裸であるように、ここで描かれるビジョンは、本能的で純粋なものだといえるでしょう。

タロットカード(マルセイユ版)「星」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

強制収容所のなかにも、自然や芸術を愛することやユーモアが言える生活が、ほんのわずかでもあったそうです。

またどれだけ悲惨な状態に置かれていても、愛する人(その人がこの世にいるかどうかに関わらず)の像を目の前に描くことで、自分を満たすことができたのだと、著者はいいます。

これらはみな「自己維持のための戦いにおける心の武器」になったそうです。

そういう心の武器が、「星」がいう「希望」なのかもしれません。

タロットカードの大アルカナ
18:月

「月」は、無意識のザワザワを呼び覚まします。
けれどもそれは、必ずしもネガティブなものではありません。

そのザワザワは、知らないことへの不安です。
今までに出会ったことのないもの、経験したことのないものに、ほんとうにに大丈夫? という気持ちが湧いてくるのは、無意識の防衛反応なのだと思います。

タロットカード(マルセイユ版)「月」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

ガス室のない収容所では、病気になると病囚収容所に輸送されるといいます。
著者は「医者」として病囚収容所送りのリストに入ったことがあるそうです。
「医者」という役割があったとはいえ、身も心もやつれた囚人であることには変わりません。

しかも、うわさがあったそうです。
ほんとうに病収容所にいくのか……ガス室に入れられるのではないか……

著者は、生死を運命に委ねたそうですが、「不安」という二語では語り尽くせないほどの感情が渦巻いていたと思います。

光の指す方に向かえるのか、あるいは、行く手を阻む犬に噛み殺されるのか……沼から這い上がろうとするザリガニの行方とともに、著者の心を、「月」に馳せます。

タロットカードの大アルカナ
19:太陽

「太陽」に描かれている二人の子どもは「異なる価値観」を表すといわれています。
太陽の強い力に見守られながら、二つの価値観は共存し成長します。

タロットカード(マルセイユ版)「太陽」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

強制収容所が解放されると、人々は「囚人」という立場から解放されます。
しかし一方で、囚人を取り締まる囚人「カポー」も、囚人を監視していた看守も、同じくその立場から解放されるわけです。

裁判に問われなかった者たちは、ひとつの社会で共存することになります。

感情的なものは別として、これが表すことは、まさに「太陽」のカードが意味するところなのだと思います。

著者はいいます。
「人間の善意は全部からみれば罪の想いグループにも見出されるのである。その境界は入りまじっているのであり、従って一方が天使で他方は悪魔であると説明するようなことはできないのである」と。

タロットカードの大アルカナ
20:審判

「審判」のカードには、「失われたものが蘇る」描写がなされています。
潜在的に眠っているものが呼び覚まされるとでもいいましょうか……

必ずしもポジティブなものだけではありません。
ありとあらゆるものが浮かび上がってくるなかで、それらを受け入れることが、意識の次元を上昇させます。

タロットカード(マルセイユ版)「審判」の意味について正位置・逆位置を含めた読み方のコツ

強制収容所から解放された人々は、身体的な拘束は解けても、心理的な危険に脅かされたといいます。
特に、道徳的健康が損なわれることは多かったようです。

「たとえ不正に苦しんだ者でも不正をする権利はない」という真理を再発見させるには長い時間がかかったといいます。

「審判」で吹き鳴らされる大天使ガブリエルのラッパは、収容所に囚われた人々にとっては、「人」として蘇るために必要でした。けれども蘇るための道は、ひとことでは言い尽くせないほどの厳しい道であったと、思わずにはいられません。

さて。

「夜と霧」の冒頭には「出版社の序」があります。
『人間であることを恥じずにはおられないような二つの出来事の印象が強烈である』と記され、その二つの出来事のうちのひとつに、強制収容所の組織的集団虐殺をあげています。

では、もうひとつはなんだと思いますか?
日本人ならば、覚えておかなければならない出来事です。

南京事件。

この二つを挙げた理由として、『戦争そのものにおいてではなく、むしろ国家の内政と国民性とにより深いつながりがあると思われる』と書かれています。

現代において未だなお、こういう出来事が「ない」とは言い切れない世界情勢です。

ほんとうに戦争は起こらない?
人種隔離政策は及ばない?

弾道ミサイルが日本に飛び込んできて、大阪が火の海になることも「ない」とは言い切れない世の中です。

だからこそ、自分が想像もつかない体験を得たひとの言葉を「考え及ばないから」と遠ざかるのではなく、ときどき、自分の今を考えるための出来事として活かしてはどうかと思うのです。

想像もつかない体験であっても、タロットカードとリンクをさせて無意識とつながれば、感覚として自分の中にいれることはできます。

それに著者が言うように、どんな出来事が起こっても、自分がどう在るかは別のことです。

出来事に関わらず、在り方は決めることができます。
それでも人生にイエス、といえる在り方です。
そんな在り方を決める一番簡単な方法は、「在りたくないこと」を知りそれをしないこと。

ここに出てくるような極限の状況は、日常には、まずないと思います。
でもだからこそ、感じてみませんか?
極限を理解することは、極限になることを抑止しようとする力にもなります。

また占いをする限り、タロットカードの「力」も「死神」も「悪魔」も「月」も、日常といつも隣り合わせです。
カードが表す日常の理解に極限の理解をプラスしたならば……カードリーディングの幅は広くなるのも当然です。

読書から著者の脳とつながったぶんだけ、確実にタロットリーディングの精度はあがると、言い切ります。

ぜひ、読んでみてください。

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