マルセイユタロット「愚者」の意味を数字と絵柄とフランス語で徹底分析

タロットカード「愚者」の意味を数字から解釈していみる

「愚者」のカードは「0」という数字があてはめられます。
ここでは、まずこの「0」という数字についてみていきたいと思います。

数えるためには、そこに何かがあることが必要です。
何もないものを、「1,2,3……」と数えることはできません。

机の上に1個あるリンゴをとると、リンゴは机の上からはなくなります。
それを小学1年生の算数にすると「1-1=0」と表記されるわけです。

つまり「0は『ない』を意味する」と捉えることができます。

実態がなく数えられないものを「0」というならば、「0」という数字があてはめられたカードに描かれている「愚者」という人物は、「何もない」と考えてもいいのかもしれません。

知識がない、仕事がない、お金がない……一方で、怖いものがない、所属がない、しがらみがない、ともいえるかもしれません。

一方で、「0」という数字をつけるからには、そこから生み出されるものがあるからか、あるいは、生み出されてなくなったものがあるから、と見ることもできます。

数の神秘主義と数の象徴的解釈に関する研究で有名なドイツのF.C.エントレスと、オリエント学者であるA.シンメルが共著した「数は何を語るのか」(翔泳社)には、「ゼロ」についてこのような記述があります。

アラブ人やイスラム教の出現の直後に採用したインドの数体系にはゼロが含まれており、これによって非常に複雑な数学的操作が可能になった。インドの原典では、ゼロはシュンヤ(shunya)すなわち「空虚」と呼ばれ、この空虚がさまざまな数の間に境界線を引き、1の位、10の位などによって、ある数の位置を識別することを用意にした。

全くないものに、わざわざ「0」という数字をあてはめる必要もないわけです。
「ないものはない」のですから、表現のしようがないからです。

それなのに「0」という数字をあてはめるのですから、なにかの実態が現れることを示唆するためか、もしくは、実態がなくなったことを示唆するためか……

なにもない空虚に境界線を引く役割があるのが「0」という数字だとしたならば……
「0」は「範囲を特定する」という意味を持っているとも考えられます。

それは、まだ見ぬ新しい世界への一歩を踏み出すことにもなるのではないでしょうか。

ともすれば「愚者」は、持っていたものを無くし、新しい世界へ踏み出そうとしている姿なのかもしれません。

あるいは、なにも持たず、なにも身につけているものもなく、今からこの世界に生まれようとする赤ん坊のような存在なのかもしれませんね。

ちなみに。
ある時期までは「愚者」のカード自体に数字がついていない場合も多かったようです。

今は、たとえば日本で広く流通しているライダー版やロスカラベオのマルセイユタロットには「0」という表記がついています。

一方、グリモーのマルセイユタロットの「愚者」には、数字の表記がないのが特徴です。

そうそう。「0」といえば、最近、娘がはまっている「コナン」というアニメのシリーズに、「ゼロの執行人」という映画があります。
二次元のイケメンたちが犯罪を食い止めようと犯罪級に派手なやり方で奔走するのですが……もはやそのやり方が、犯罪やろ?! などと口走ったものならもう……タイヘン。
ここは愚者の境地で?! 細かいことは気にしないことが無難なんだと悟った、母なのです。

タロットカード「愚者」の意味を絵柄から解釈してみる

人物

カードの右側(自分の左側)を向いている人物

意識は外に向かっています。
「愚者」に「0」という数字があてはめられているということを考慮すると、「今と違う世界に向かいたい」という意図を垣間見ることができます。

また、逆位置で人物がカードの左側を向いているとすれば、閉鎖的に捉えることもができます。
つまり、外の世界ではなく、今ある現状の世界にとどまっていたい、と読むことができます。

無造作に扱われている閉じられた袋

「愚者」が持つ袋には、「愚者」の次のカードである「魔術師」が机に広げる「棒、ナイフ(剣)、貨幣、杯」が入っているといわれます。

つまり、この中には世界を形作る「元」が入っているのですが、「愚者」はその袋を縛り粗雑に扱うのです。

まるで「自分はなんでも持っているがそこに興味はない」とでもいわんばかりです。

自分が所有しているものには関心がない、でも、それでもこの袋を持つのは、万が一のときのためか……あるいは、新しい世界で使うときのために、とっているのかもしれません

世界の境界を示す崖

崖は、世界の境界線を表します。

「愚者」は、崖の存在に気づかずに別世界へ落ちてしまうのか、あるいは、崖があることは知っているが、これまでとは違う新しい世界に想いを馳せて崖に近づいているのか……

今いる世界とは違う世界にいく姿には、間違いなさそうです。

「守り」を象徴する犬

「犬」は「守り」や「警護」を象徴する絵柄です。
「外に向かいたい」とする「愚者」に、「外に出てはだめ!」と警告をしているようにも取れます。

占いでここを読むときは、相談者にとって「愚者」は誰(自分か相手、もしくは第三者)のことを指し、「愚者」に警告する「犬」は、誰もしくは何なのか?(どんな感情・状況があるのか?)などを意識してみるといいでしょう。

破れた服

服は社会との関係で作られる人格

服はその個人を覆っているものです。
社会的なつながりで作られていく人格とみなすこともできます

しかし、「愚者」の服は破れています。犬に噛みつかれて破かれたとすれば、この世界から去る「愚者」に、なんらかの罰が与えられたのかもしれません。

一方で、「服が破れている=社会的な人格の中に覆われていた、個人の純粋な人格が出てきた」とみることもできます。

いずれにしても、社会的なしがらみから解き放たれた様子が伺えます。

子どもの頃、近所によく吠える大きな犬がいて、つながれていても「噛まれないか……」と心配していた記憶があります。
それを思うと、愚者の犬って……小さくて可愛らしいんですよね。

お尻にアタックしながら「相手してよ~」ってじゃれているみたい?!

タロットカード「愚者」の意味をフランス語から解釈してみる

大アルカナの「愚者」
このサイトでご紹介しているタロットはGrimaud社のマルセイユタロットであるため、フランス語名についても少し触れておきたいと思います。

フランス語(マルセイユタロットのグリモー版)では「LE MAT」
フランス語で「愚者」といえば、「Le fou」の方が馴染みがあるかもしれません。

たしかにロスカラベオ社のマルセイユタロットの「愚者」には「LE FOU」という単語があてはめられています。
「狂人」の他に、古典では「道化師」とも訳されます。

一方、グリモー版のマルセイユタロットのフランス語表記は、昔のフランス語表記が使われているとみえ(「恋人」の表記が現代では「L’AMOUREUX]ですが、「U」が「V」になり「L’AMOVREVX」となっているため)、「Le Mat」は、「Le Fou」にかわる古語なのでしょう。

愛用の辞書、ロワイヤル(仏和)とLE ROBERT MICRO(仏仏)で「le mat」を調べてみると……現代語として「チェックメイト」という意味が載っていました。

愚者にしてチェックメイト……このカードの意味を捉えるうえでも、なんとも絶妙なニュアンスです。

遊戯用としてタロットが作られている経緯からみても「チェックメイト」という単語があてられている「愚者」に、いろいろな意味で「行き場を失う」という言葉を連想します。

土壇場の一発逆転を狙うのか??!
お手上げといって捕まるのか……
逃げることも立ち向かうことも、傍観することさえできる……
あるいみ、精神的な極限状態にあるのが、「愚者」なのかもしれません。

何者にでもなれ何でもできる、あるいみ「無敵」な存在が、「愚者」だと思ってしまいます。

まだなにものにも染まっていない大きな可能性を秘めているとするなら、なおさら、最強かもしれません。

ところで……ピエロのような衣装を身にまとい「LE FOU」とも呼ばれる愚者。そこに「LE MAT」のチェックメイト、という意味が込められたなら、思いうかべるのは……あれしかありません!!

ジャン=リュック・ゴダールの「Pierrot Le Fou(気狂いピエロ)」

フランス語を学び始めた頃、無謀にもフランス語でみた初の映画がこれでした……観ながらも頭の中には「????」しか浮かんでいなかったんじゃないかなぁ(笑)

主役のジャン=ポール・ベルモンドがダイナマイトまみれになって死んでしまったことだけは、今でも覚えています。

ストーリーは単純なのだと思いますが、描写というか、画面の切り替え方というか……初めて観たヌーベルバーグの映画として20年以上経ったいまでも思い出すことができるのは、そのインパクトがあまりにも大きかったからでしょうか。

タロットの「愚者」に、おもわず「Pierrot Le Fou」のインパクトを重ねてしまいます。

タロットカード「愚者」の意味つれづれ

先日、初めて沖縄に仕事でいったのです。
見知らぬ土地をバスに揺られていると、妙に「やっぱりときどきは、フラっとひとりでどっかいかなあかんなぁ」という気持ちがこみあげてきました。

旅をすることに慣れているわけではありませんが、ひとりでどこかにフラっと出かけたくなることがあります。
家も仕事もほっぼり出して。

そしてふと、頭に過る「愚者」のカード。

ダイナマイトで自分を爆破してしまう前に「愚者」になることは、ときどき必要なんかもなぁ、としみじみ思う、今日このごろです。

ここまで「愚者」についてみてきました。
少しでも「愚者」に親しんでいただけましたなら、嬉しい限りです。

※参考図書

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