※使用しているタロットカードは「マルセイユタロット」です。
タロットカード「運命の輪」の意味を数字から解釈してみる
「運命の輪」のカードは「10」という数字があてはめられます。
ここでは、まずこの「10」という数字についてみていきたいと思います。
「10」は1~9までの「実現」を意味する数字です。
「1」で始めたものは紆余曲折を経て、「10」で実現します。
いちど、ここまでの過程を振り返り、いったいなにが実現しているのか? 現実となっているのか? を見つめてみるといいかもしれません。
本意な結果であればいいのですが、もし、その結果が不本意なものであれば、これまでの過程のどこにその兆しがあったのか、を見つめることで次に向けた改善を試みることもできます。
それが本意であろうが不本意であろうが、少なくとも何らかの「結果」「現実」を手にしているのが「10」だからです。
ところで「10」の数字は、「結果」や「実現」を意味するために、限定的な環境や場、があることが前提です。
それはたとえば、職場であったり、家庭であったり、あるいは、肩書やステイタスなど、その限定された環境においての「結果」や「実現」を表します。
ひとつの限定された環境だけに囚われていると、他の環境に目を向けにくくなっているかもしれません。
仕事の結果を求めてきたがゆえに、家族のなかがギクシャクしている
出世はしたものの、同僚や部下との関係が悪化しているかもしれません。
良くも悪くも、今なにを自分は手にしているのか、に対して客観的に見ることができたなら、「10」からその先の扉も開いていく、というものです。
ちなみに。
心理の世界では「今手にしている現実は自分が望んだもの」というそうです。
決して「こうなったらいいなぁ」と考えていることが必ずしも現実になるわけではありません。
なぜなら、その「現実」とは無意識が望んでいることであり、意識的に本意か不本意かなどの感情や思考では測れない現実だからです。
だからこそ、どんな現実であっても、そこに反抗したところで仕方がなく、まずはいったん「そうなんやね」と受け入れることが大切だそうです。
なぜなら、どんなに思い描く「こうしたい」「こうなりたい」があったとしても、現在地を特定して自覚できないことには、その「こうしたい」「こうなりたい」の目的地までどうやっていけばいいのかが分からないからです。
現在地が分からないまま、タクシーも呼べないし、バスや電車がどこまでいけばいあるのかなど、見当もつけられないでしょ?
状況をちゃんと見極めてからでないと混乱するばかりで、どうしたらいいか? という確実な一歩が踏めないのです。
そういう意味では、仕事以外にも、計画→実行→検証→調整・・・のPDCAサイクルは有効なんかもしれません。
- こうしようを描き(計画)
- やってみて(実行)
- できたことできなかったことを眺め(検証)
- 次なる一手のために工夫して(調整)
- こうしようを描き(計画)
- やってみる(実行)
- ……
運命の輪とは、こうして回っていくのかもしれません。
タロットカード「運命の輪」の意味を絵柄から解釈してみる
動物
本能を表す動物
動物は、「本能」や「衝動」などを象徴します。
ここでは猿のような動物が王冠をかぶって剣を持ち、輪の頂点に座っています。
王冠や剣は人間的な権力の象徴ともいえ、「知性ではなく本能や衝動によって権力を支配している」というような見方もできると思います。
頂点の動物の他に、輪によって上昇する動物と下降する動物が描かれています。
カードの上部中央は「権威」を表わし、カードの下部中央は「私生活」を表します。
カードが正位置ならば「権威」の方が強調され、社会的な成功、を読むことができます。
一方、カードが逆位置ならば、王冠の猿は下になり、こんどは「私的な土台」「プライベート」を現わす中央下部に配置されます。つまり、社会的なことよりも「私生活」での充実が強調されてくる、とみることもできます。
もちろん、カードが逆位置となり「正」のエネルギーが滞ることで、本能が暴走して運命が空回りする、とみることもでき、その場合は「時期に迷う」とみることもできるでしょう。
輪
空間を限定する輪
輪は、環境を限定します。
環境が限定されるからこそ、「結果」というものが見えてくるともいえます。
またこの輪は、回転する輪、です。輪が回転することによって空気が外に向かって流れていきます。そのため、さまざまなものが空気の流れに乗って広がりをみせていく、ともいえて、そこから「拡大」や「発展」の広がりを読み取ることもできます。
ちなみに、ここで得た結果は、見方によって「いい」「わるい」という印象が変わるのかもしれません。
輪から離れられない動物になってしまう前に、結果へのこだわりを放してしまうと、輪によって限定された環境から自由になれるのかもしれません。
とはいえ、マルセイユタロットの「運命の輪」は、動物たちが輪を回転させて遊んでいるように見て、私はほっこりしてしまいます。
動物たちの表情や仕草にも、味があるというかなんというか……
イタズラ会議?! をしているように、ときどき見えることもあるからでしょうか(笑)
タロットカード「運命の輪」の意味をフランス語から解釈してみる
大アルカナの「運命の輪」
このサイトでご紹介しているタロットはGrimaud社のマルセイユタロットであるため、フランス語名についても少し触れておきたいと思います。
フランス語(マルセイユタロットのグリモー版)では「LA ROUE DE FORTUNE」
熟語として「運命(運命の女神が支配する車輪の意から)」という意味があるようです。
単語を分解すると、「la roue」が「車輪」、「la fortune」が「財産・資産・運命・運・裕福」という意味があります。
……ん??!
「運命」って「抗えないなにか」というよりも、お金が基準なのか?? と単語を分解しながら思ってしまって……苦笑いをしてしまったことはここだけのはなし。
たしかに、この「運命の輪」のカードは、精神的な充実というよりもむしろ、社会的な幸運であったり、社会的な成功、を意味する場合が多いです。
だから「運命・宿命」の意味で一般的な「destin」という単語が使われていないのかもしれません。
「運命の輪」のカードの本意を捉えるうえでは、このフランス語表記はポイントだと思います。
ところで、「運命の輪」といえばどんなものを想像するでしょう?
私の場合は、「運命の輪」という言葉から「ホロスコープ」を想像してしまいます。(お金基準ではない「運命」として(笑))
タロット以外に、ホロスコープを読むことも好きなのですが、これがまた興味深いのです。
ホロスコープは生まれた年月日場所時間から、その人が持つ性質を知るときに役立ちます。
私がホロスコープの世界観に惹かれたからでもありますが、今は、自己分析ツール、のようにホロスコープを使うことが多いです。
もちろん、ホロスコープによって自分の運命が支配されてしまうかどうかは、活かし方でもあるので、その人しだい。
タロットカードに描かれる輪のように、運命やホロスコープでみえるその人の性質が回転するならば、私たちは、常に浮き沈みの中で生きていくのかもしれません。
ですが、たとえ辛いことや苦しいことがあったとしても、回転する、が頭にあれば「まぁそういう時期なんだ」「そういうところあるよね」などと気を楽にすることができます。
そして辛い苦しい体験は、きっと自分の糧になるのだと思います。
運命、というと、どこか「逆らえない!」などという印象を持ちがちですが、ここは軽ろやかに捉えたいものです。
タロットカード「運命の輪」から恋愛を読む
まだ相手がいない場合の「運命の輪」からのアドバイス
「運命の輪」が出てきたときは、チャンス到来!!です。
パートナーを探しているときならなおさら、ここは、出会いのアンテナを張っておきたいものです。
ただ……ここで出てきた出会いは、自分にとって望んでいたような出会いであるかどうか、はわかりません。
けれども、「あの人は好みじゃない」「あの人は合わない」と、すぐには決めないでほしいのです。
はじめは「好みじゃない」と思っていても、「自分には合わない」と思っていても、仲のいいカップルになることはよくあることです。
ここでチャンスをものにしてから、付き合い始めた後に「やっぱり一緒にはいられない」と決めればいいのですから。
「運命の輪」は、これまでの集大成がでてくるときです。
自分がやってきたことの結果ですから、ぜひ、その機会は大切にしてほしいと思います。
恋人とギクシャクしてきたときの「運命の輪」からのアドバイス
パートナーとギクシャクしてきたときに「運命の輪」がでてきも、やっぱり「チャンス」だと捉えてほしいのです。
自分の意志しだいで、「関係を深める好機」となり「別れる好機」となるからです。
今は、「なんでそんなことをするの?!」と、相手の理解できない一面が強調されているとき。
けれども、このまま別れたくない、という気持ちがあれば、「運命の輪」は「お互いをもっと深く知るチャンス!」というでしょう。
そんなときは特に、お互いに自分の素直な思いを出すことがとても大切です。
そのうえで、自分がHappyとなるようにどうすればいいか?を考ること。
「運命の輪」は「今がそのとき」を示すカード。
それは、パートナーとこれからもいっしょに人生を歩んでいきたいかどうかによって捉え方が異なります。
別れるもよし。関係を深めるもよし。
「運命の輪」が出ているならば、どちらにしても、これ以上結論を先延ばしにすることはおススメしません。
あなたの意志が現実となる、好機なのですから。
タロットカード「運命の輪」から仕事を読む
仕事のキーカードで「運命の輪」が出てきたなら、これはまさに、成功のチャンス!! と読みます。
仕事の成果が形になって現れるときですから、最後の追い込みで励み時だといえます。
「運命の輪」は、もともと「仕事」と相性のいいカードです。
王冠を被った猿のような動物が、「社会的権威」を表す上部中央に描かれています。社会的な地位を得る、社会的な成功を得る、そんな絵柄です。
ただし、ひとつ注意をしたいのは、絵柄が「猿のような動物」だというところです。
「動物」は本能や衝動の象徴として用いられることがあります。つまり、「動物」が絵柄にあるということは、本能にかられエゴがでてきて慢心しやすい時期でもあるのです。
「運命の輪」は、ひとつの結論にすぎません。長い長い人生のなかの、通過点に過ぎないのです。
この通過点をどう捉えるかによって、次のステップに大きく影響します。
もちろん結果は結果として素直に喜べばいいのですが、同時に、ひとりよがりになると、状況が変わったときに誰も応援してくれない事態にもなりかねないことは、心に留めておきたいものです。
タロットカード「運命の輪」の意味つれづれ
「運命の輪」は、精神的な充足というよりも、どちらかといえば、社会的な満足感を表わしているところは、押さえておきたいところです。
もちろん、社会的な満足が心の満足になることはありますが……
いつイタズラをしてくるかわからない輪の動物たちに、心惑わされないことは大事になるやろなぁ、と思います。
ここまで「運命の輪」についてみてきました。
少しでも「運命の輪」に親しんでいただけましたなら、嬉しい限りです。
※参考図書
- 数の原理で読むタロットカード 松村潔(星和書店)
- 魂をもっと自由にするタロットリーディング 松村潔(説話社)
- 大アルカナで展開するタロットリーディング 実践編 松村潔(説話社)
- 数は何を語るのか F.C.エントレス、A.シンメル(翔泳社)
- タロットの秘密 バーバラ・G・ウォーカー(魔女の家Books)
- タロット象徴事典 井上教子(図書刊行会)
- ロワイヤル仏和中辞典 (旺文社)
- Le Robert Micro Dictionaire De LA Langue Franaise (DICTIONNAIRES LE ROBERT)
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