※使用しているタロットカードは「マルセイユタロット」です。
タロットカード「力」の意味を数字から解釈してみる
「力」のカードは「11」という数字があてはめられます。
ここでは、まずこの「11」という数字についてみていきたいと思います。
二桁の数字は一桁に還元します。桁数の数字を足していき「11」を一桁にします。
すると、「11」は「2」となります。
「11」は二番目の「2」。「2」の性質である「相対化」という特徴を持ち、「2」と対極になります。
もともと「2」の数字は内向きでしたが、「11」は外に向きます。保守的で内面や過去をむいていた「2」が、「11」になると外に向かって改革を唱え、これまでの価値観をひっくり返そうとします。
ちなみに、「11」は「2」の相対でもありますが、前の数字である「10」との関係においても相対化します。
つまり、「10」まで現れた実績や価値観の「ちゃぶ台返し」をするのです!「こんなのはダメだ!」とでもいわんばかりに。
「11」は、結果の数字である「10」に新たに「1」が加わっているところをみても、「10」で現れた結果を良しとせず、別の道を模索し始める、とも読めます。
これまでの常識や当たりまえに「NO」という。
受動的な「2」とは真逆で、「11」は積極的な数字でもあります。
ちなみに、「11」という数字は、私の中でもワクワクする数字です。新しい何かが始まることを予感するからでしょうか。
いや、何かが始まる、というのは違いました。自分主体であるがタロットの生き方です。
だから……自分で何かを始める、というのが適当かもしれません。
それは、「11」を別の切り口で眺めてみるとみえてきます。
たとえば、ここでは特に「2」との相対での「11」に注目しましたが、「1」と対で「11」を捉えることもできます。
つまり、運命の輪が回る「10」以降に始まる最初の世界としての「11」
「1」の魔術師に描かれている、交差しないレミニスカートの帽子が「11」では交差した本来のレミニスカートが得かがれているわけです。
この共通項と進化をみれば、まさに「新しい何かが始まる」兆しであり、「何かを始める」挑戦時、ともいえるでしょう。
そんなふうに切り口を変えながらタロットと親しんでみると、まだまだ面白い発見に出会っていけるのだと思います。
タロットカード「力」の意味を絵柄から解釈してみる
動物
本能を表す動物
動物は、「本能」や「衝動」などを象徴します。
ただ、「本能」や「衝動」というと、なぜか野蛮な意味に捉えられることが多いようにも思います。
特に、本能的な欲に対する偏見は、いろいろなところで見聞きします。
ですから、動物の図像の象徴には、そのような偏見で読まれることも多いのですが……
そもそも「本能」も「衝動」も自然なものであり、無意識なもの、というだけです。
特にこのカードで描かれているライオンは、人物の下半身に位置していますから、「生理的な欲求」と読むこともあります。
ですがこれは、「熱くて疲れたので日陰でやすみたい」「お腹が減ったので何か食べたい」、あるいは子どもがお母さんに「(安心感がほしいから)ハグをして!」というように、人として当たり前に沸き上がる欲求のことを表していることを、覚えていてほしいと思います。
帽子
レミニスカート型の帽子
帽子は、頭を保護します。同時に「受け止める」を意味する道具です。
自信を保護すると同時に、自分と天を仕切る帽子から、天の啓示を受け取止める、と読めます。
また、帽子は「レミニスカート(∞マーク)」になっており、これは、方向転換を意味します。右回り(左回り)であったものは、中央を境に、左回り(右回り)となるからです。
ここでは、これまでの価値観の変化が起こる、と捉えることができます。
ちなみに、「1」の魔術師もレミニスカート型の帽子をかぶっていました。ところが、魔術師の帽子は交差がありませんでした。一定方向にむかって「始まり」を表すことに焦点があたっていたからです。
けれども、この「力」では、帽子は交差しています。
つまり、この「11」のカードでもたらせる価値観の変化は、始めの変化「1」からその結果を表わす「10」までに築き上げてきた価値観から変化が起こる、とみるのが妥当です。
人物
カードの右側(自分の左側)を向いている人物
意識は外に向かっています。
しかも人物の手は、本能や無意識を表わすライオンの口元にあります。
ライオンを押さえているのか、ライオンの口の中に手を入れようとしているのか……ライオンを意識的にコントロールしようとしていることが伺えます。
これまでの当たり前や常識の流れに逆らおうとしている、と読むことができます。
意識が外に向かいこれまでの常識を覆そうとしている人物には、社会的な改革力がある、とみてもいいかもしれません。
さて、タロットは全部で22枚です。
ということは、「11」は折り返し地点ともいえます。
転化を表わすレミニスカートが描かれているように、ここから流れが変わります。
しかも「1」の魔術師よりも、できることは多くなっているハズです。
ならば。
ここでもう一度「力」を蓄え、いざ、なにをはじめて生きましょうか?!
そんな「力」を、このカードにみてもいいのかもしれません。
タロットカード「力」の意味をスランス語から解釈してみる
大アルカナの「力」
このサイトでご紹介しているタロットはGrimaud社のマルセイユタロットであるため、フランス語名についても少し触れておきたいと思います。
フランス語(マルセイユタロットのグリモー版)では「LA FORCE」
「力」「精神力」「知力」という意味があります。
フランス語には「男性名詞」「女性名詞」「中性名詞」というものがあります。そして、名詞の性によって使われる冠詞も動詞も形容詞も異なってきます。
たとえば、女性という性別であれば「女性名詞」の扱いを受け、男性であれば「男性名詞」の扱いを受けることになります。
ちなみに、「力」を意味する「La force」という名詞は女性名詞です。
そう……女性、なんですよね。
「力」というと、どこか男性的な強さ、という印象を持ってしまうかもしれません。
ですが、ここでいう「力」には、女性的な柔らかさ、しなやかさ、もいっしょにイメージしてみてはどうでしょう。
(たとえ数字の変更がみられるとしても)生命の樹でも、弛緩と慈愛の木星があてられる「ケセド」と緊張と意志の火星があてられる「ゲブラー」のパスになっている「力」のカード。
意志を通す強さと物事を包み込む寛容さとを持ち合わせた「力」だからこそ、改革が成し遂げられるのかもしれません。
もちろん、女性には女性にしか持てない「力」があって、男性には男性にしか持てない「力」があると、私は思っています。
それはつまり、どちらが優れているとか劣っているとかではなく、ただ、お互いに持たない「力」を補い合うためのもの。
「力」の優劣付けるのは、戦いです。けれども、ライオンに手を添えるのは戦うためではなく、「力」の補いであり、共存する、ということなのだと、私は「力」のカードを眺めていて感じるのです。
「男女平等」という言葉が社会に出てきて久しいですが、お互いの違いとお互いの良さを共生しあう関係で在りたいと、「力」のカードに想い馳せます。
タロットカード「力」から恋愛を読む
まだ相手がいない場合の「力」からのアドバイス
「力」のカードが出てきたら、これまでと「違うこと」をやってみるといいです。
お出かけのとき、黒い服をよく着るならば、これからはできるだけ明るいトーンや柄物の服を着てみる。
飲み会が苦手で遠慮しがちだったら、次にお誘いがあったときは即決で参加してみる。
普段は行かないようなお店に行ってみるのもいいですし、いつもは読まないようなジャンルの本を読んでみる。
新しいことにチャレンジしてほしいのです。
いつものようにやっているとうまくいかないことが多いなら、いつもと違うことをする。
これが「力」のカードがいう発想の転換です。
新しいことへのチャレンジは、気持の変化だけではなく、入ってくる情報や行動パターンの変化も促します。
この変化から、素敵な出会いが繋がっていくでしょう。
恋人とギクシャクしてきたときの「力」からのアドバイス
パートナーとギクシャクしてきたときに「力」のカードがでてきたら、ギクシャクしていた状況は変わる、と読むことができます。
ただし、流れを変えるのはあなた自身。
あなたのパートナーがなにかをしてくれるから、と期待はしない方がいいでしょう。
ギクシャクした流れを変えるために大切なポイントは、自分のクセを知ることと、これまでと違うことをする(やってきたことをやらない、やらなかったことをやる)、の二つ。
たとえば。
仕事のことや人間関係のことで話を聞いてもらいたいと、あなたはパートナーにしゃべってばかり。パートナーはいつもあなたの話の聞き役になることが多くありませんか?
感情的になったとき相手にキツイいい方をしてしまって、後から「ちょっとキツイいい方だったかな」と省みることがよくありませんか?
話好きなことが悪いわけではありません。感情的になることがダメなわけでもありません。
ただ、「力」のカードは「これまでやっていたこととは違うことをすることが大切だ」といいます。
もし、後から自分の態度を省みることがあるならば、意識してそれを「やらない」努力をしてみてください。
あわせて、深呼吸で気持ちを落ち着かせ冷静であることを意識してから、自分がいえずにいたことを、ここで思い切って相手に伝えてみることです。
相手を変えることはできません。でも、自分が変われば相手が変わることがあります。
それは、自分がこれまでと違う一面を持っていることを知れたなら、相手の違う一面をみることができるようになるからです。
「パートナー」とは、自分の合わせ鏡のようなものだから。
タロットカード「力」から仕事を読む
仕事のキーカードで「力」が出てきたなら……発想の転換で一発逆転ホームラン! のチャンスです。
あまり気のりのしない仕事を任されたとしても、仕事でミスをしてしまったとしても、捉え方しだいで「チャンス」に変えられる大事な場面だと思ってほしいのです。
反対に、おいしい話や楽にこなせそうな仕事があったら、いつもより冷静で慎重な判断をしてほしい場面でもあります。
落ち込んだり、喜んだりしたらダメ! ということではなく、切り替えが大切だ、ということです。
ここは現状にどう対処するかしだいで、状況が一変する時と考えてみてください
もし泣きたいときに泣けなかったり、かっこ悪い……などといっていると、むしろ、あとに尾を引きます。落ち込みが長引くこともあります。
「俺は大丈夫」なんて考えずに、お酒を飲みながら泣けばいいし親しい人に思いっきり愚痴を聞いてもらってください。
スパッ! と切り替えるには、「思いっきりやること」が大切
思いっきり落ち込んだら、翌日はスッキリ!
仕事のミスはあなたの糧となりましょう。
流れを変える「力」のカード。
「あなたには流れを変えるだけの力がある!」と、力のカードは応援しています。
タロットカード「力」の意味つれづれ
「力」のカードは、荒々しく激しい「力」というよりは、芯の通った優しい「力」という方が、私にはしっくりときます。
自利が他利となり、他利が自利となる。
そんな無限のループを、「力」のレミニスカートに想います。
ここまで「力」についてみてきました。
少しでも「力」に親しんでいただけましたなら、嬉しい限りです。
※参考図書
- 数の原理で読むタロットカード 松村潔(星和書店)
- 魂をもっと自由にするタロットリーディング 松村潔(説話社)
- 大アルカナで展開するタロットリーディング 実践編 松村潔(説話社)
- 数は何を語るのか F.C.エントレス、A.シンメル(翔泳社)
- タロットの秘密 バーバラ・G・ウォーカー(魔女の家Books)
- タロット象徴事典 井上教子(図書刊行会)
- ロワイヤル仏和中辞典 (旺文社)
- Le Robert Micro Dictionaire De LA Langue Franaise (DICTIONNAIRES LE ROBERT)
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