占い師になりたい、タロットで占えるようになりたい、と思えば、まずはタロットカードの意味を覚えるところから勉強をスタートすることがほとんどかもしれません。
また誰かに習おうする前に、本を読んだり、占い師の書いているブログから情報を掴んだり、YouTubeを見たりしながら、独学している人も多いでしょう。
うらないば、には、ある程度独学をしてからタロットレッスンを受講される方も来られますが、たとえば、このようなご相談をお受けすることがあります。
いろんな人がいろんなことを言っててよく分からなくなってきます
占い師になりたくてタロットを独学で勉強してきました。
本もたくさん読みましたし、ネットからは占い師が書いてるブログを読んだりYouTubeを見たり。
でも、いろんな人がいろんなことを言ってて、正直、よく分からなくなってきてるんです。
独特な解釈をする人もいて違和感を持ってしまうこともあるんです。
たとえば「タロットのカードは、それぞれにひとつの意味しかありません」みたいに極端なこととか、スピリチュアルすぎたり、感覚だけでしゃべっているよなぁ……と思うこととか、なかには「男とは!女とは!」みたいに時代錯誤だよなぁと感じてしまうような内容もあったり……
あと、あの先生とは真逆のことを言ってる? なんてことも。
でも、どの占い師さんも結構有名な人だから、私がちゃんと学べていないからだって自己嫌悪してしまって。
なにが正しいのか、どれが本当なのか、何が何だかこんがらがってきちゃって、タロットを勉強するのがしんどくなってきていたんです。
そんなとき、こちらのサイトを見つけました。
先生は、いろんな人がいろんなことを言ってるのって、どう思いますか?
さて……
知識を増やそうとするならば、さまざまな本を読んだり色々な人の話を聞くことは大事だと思います。
けれど、たとえ同じタロットカードであっても、人によってその捉え方は様々で、かつ、その表現には個性が出てくるため、場合によっては、そこで示された意味や解釈に混乱してしまうこともあるでしょう。
それは、とても自然な反応だと思います。
だからといって、「タロットで占えるようになりたい」「占い師になりたい」と思って始めたタロットの勉強。このまま疑問を持ちながら進むのも嫌ですよね……
そこで。
先のご質問にあった「いろんな人がいろんなことを言ってるのって、どう思いますか?」にお応えしながら、ここでは「独学で陥りがちなタロットの意味を勉強しようとするときの弊害」についてお話をしていきたいと思います。
タロットの意味を勉強しようとするときの弊害と鵜呑みにしない大切さ
まず「いろんな人がいろんなことを言ってる」ことについてお応えするならば。
占い師とて「人」ですから、その表現に「人と成り」が出てきても仕方がありません。
その人の思考パターンに、これまでの経験、タロット以外に身につけてきた知識や教養、そういうものが一切合切含まれた「個性」として言葉が発せられることは、どうしようもないことだと思います。
でも、だからこそ、鵜呑みにしないことは大切で、なぜなら、人の解釈や意味をそのまま鵜呑みにしてしまうと自分のリーディングができなくなってしまうからです。
またタロットに馴染むための取っ掛かりとして、あるいは、リーディングの参考として知識を得る分にはいいのですが、「それしかない」となってしまっては、タロットが無意識へアクセスするための道具だとしても、その役割を半分も果たすことができません。
そうなってしまうと、タロットが云わんとすることを汲み取れないまま不自由なリーディングしかできず、タロットリーダーとしての器量を自ら狭めてしまいかねません。
それは、ほんとうに勿体ないことだと思います。
だからこそ、鵜呑みにしない。
これは、私がレッスンするときも受講生の方にお伝えすることです。
想像の範囲を超えることができないものたち
鵜呑みにしない理由として、こういう理由もあります。
タロットカードには作者の思想が含まれています。
エッティラタロットにはエッティラの思想
マルセイユタロットは作者が分かりませんが、その代わり、そこに描かれている絵柄から、旧約聖書や中世ヨーロッパ時代の背景が含まれていることは想像に難くありません。
その時代の思想が含まれている、といってもいいでしょう。
つまり、こういっては元もこうもないのですが……
たとえ現代に語り継がれているとしても、その時代のことを実際に知ることはできないし、その作者でない限り断言できず、そこに込められたものがどういうものであるのかについて想像の範囲を超えることができません。
想像の範囲を超えることができない以上、現在にそれを表現している人が何に基づきその解釈をしているのか次第で、乱暴な言い方をすれば、如何様にもタロットの意味や解釈が変わってしまうことがあっても不思議ではありません。
だからこそ、それを学ぶ者は、そこを踏まえておかなければならない……つまり、教えてくれる人がいう意味や解釈を鵜呑みにしない、ということがやはり大事。
そうお伝えせずにはいられません。
育った環境や文化による思考の違い
また昔から存在しているもので今に学べることは、少なくとも誰かから誰かに受け継がれてきたものであるはずです。
どんな本の著者であっても、あるいは、タロットの意味や解釈を発信する占い師であっても、その人自身、誰かから学んできたことになります。
つまりその意味や解釈にも、多かれ少なかれタロットの作者以外の誰かの考え方や思想が反映されている、といってもいいでしょう。
もしかすると、教えてくれた「誰か」が、たとえば、「男は外で働き、女は家を護ることが幸せな家族の姿だ」といった環境に育っていたならどうでしょう?
あるいは「不倫はいけないことだ」といった想いを抱いていたとしたら?
「男性」や「女性」あるいは「陽」や「陰」の解釈にも、そういう考え方が影響する可能性は捨てられません。
あるいは、文化的な違い。
たとえば、フランス語は主語・動詞・目的語・補語といった言葉の文型が明確で、かつ、主語によって動詞が変化します。
そのため言語的に「誰が」の主格が明確にはっきりしており、日本語のように主語がなくても文章が成り立つような言語文化にありません。
「主」が常にはっきりしている文化に育った人
「主」が曖昧な文化に育った人
たとえ同じ時代に生きていても、文化的な違いから表現の差異が表れても不思議ではないでしょう。
もちろん、「こういうものだ」という考え方や思想、あるいは、環境に影響された思考のパターンは誰しもが持っているものですから、それが「いい」や「わるい」などと評価できるものではありませんし、するものでもないと思っています。
けれども長年積み重ねてきたものを全く排除することは難しく、影響は多少なりとも出てくる、ということは、誰かから何かを学ぶ際には加味しておいてもいいのではないでしょうか。
それにどんなに時代が変わっても、誰かの考え方がその意味や解釈に含まれているとしても、本質が変わることはありません。
だからこそ、やっぱり……誰かの解釈や意味は鵜呑みにしない。
大事だと思います。
でも……学ぶときに気を付けることがあるとして、実際にはどのように対処をすればいいのでしょうか?
学ぶときに気を付けることがあるとして、実際には、どう対処すればいい?
私自身、知識を増やすために、さまざまな本を読んだり人の話を聞いたりすることは大事なことだと思っていますし、たとえ占い師になっても学び続けることは肝心だと思っています。
けれども同時に、教わったことを使っていくことも大事だと考えます。
まずは「そういうものがあるんだな」といったん受け容れること。ただし完全に呑み込まない(鵜呑みにしない)ことです。
そして、呑み込む前に「その知識を使って自分なりに咀嚼して消化する」の両輪を回していきます。
食べものを鵜呑みにすると消化不良に陥ってそこに含まれる栄養の吸収が悪くなりますが、同じことが知識においてもいえるからです。
知識は使ってみてはじめて「その知識が何とどのように繋がり、自分はそれをどう活かすことができるのか」といった実感が得らるようになります。
使うことが、食べものでいう「咀嚼」
実感を得ることが、食べものでいう「消化」
そして「使って実感を得る」を繰り返すことで、ようやく自分の腑に落とすことができる、つまり「何度も咀嚼して消化を繰り返すことで栄養が体に入る」ということ。
ですから、たとえ知識を得たときその場で「なるほど!」と思ったとしても、実際に使ってみることなく頭の中だけで腑に落ちることはないでしょう。
そして腑に落とされない知識とは、所詮、他人からの借り物にすぎないのではないでしょうか。
知識は、実際に使ってみて何かを感じ、繰り返し使って「あぁ!なるほど!!」と、ようやく自分の腑に落ちる。
そうして、その知識や情報が「自分のもの」となるのだと思います。
自分のものとなった知識ならば自由自在に使えますから、自分のため、あるいは、人のために活かすことも十分にできるでしょう。
それにいったん「自分のもの」となってしまえば、その知識や情報は、いつでも自分の引き出しから引っ張りだすことができ、当然、タロットのリーディング力につながってきます。
他人の知識のままで自分らしいリーディングなどできるはずもなく、他人からの借り物の知識や表現で人の心を動かすことは、まず難しいでしょうから。
本を読んだり、YouTubeを見たり、セミナーや講座に参加して誰かに習ったとしても、実際に使ってみて実感を得ない知識や情報は他人のもの。
だからどうか、人から得た情報や知識は実際に使ってみて、どんどん自分のものにしてほしいと思います。
占い師になりたい、と思っている方へ
最後に、占い師になりたい、と思っている方へ。
教養として知識を増やすためならば、さまざまな本を読んだり人の話を聞いたりすることは大事なことだと思います。
けれどももし、その教養や知識を自分や誰かのために役立てたい、と思うならば、ある程度学んだところで、それを使うことを考えていく必要があるのではないか、と思います。
つまり、ほんとうに「占い師になりたい」「占えるようになりたい」ならば、独学で半年、1年ぐらい経たら、独学した占術で「誰か」の相談に応えていく実践を積んでいった方がいい、というのが私の考えです。
理由はとても簡単です。「知っている」のと「使える」ことは全く違うことだから。
どれだけ本から知識を得て自分の将来やこれからの人生を考えるヒントやアイデアを見つけたとしても、それを使って動かなければ現状は何も変わらないという原理と同じです。
「そうすればいい」と知っていても、「そう」動かなければ、「そう」なることはないのですから。
どうぞタロットを展開して、どんどん読む練習をしてみてください!
練習の方法についてはこちらにも書いているので、ぜひご参考ください。
▶参考記事:タロットを独学している人におすすめのタロットの練習方法
せっかくタロットに興味を持って学ぼうとするのです。
人の解釈に戸惑って「自分がおかしいんじゃないか」って思うよりも、どうせなら楽しくリーディング力をつけながら学び続けていきたいじゃないですか?!
どんなに有名な人の話であっても鵜呑みにするのではなく、その知識を使って実感を得るを繰り返し腑に落とすことで、自分のものにしていってほしいと心から願っています。
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