なんでいつも仕事で嫌味を言われなきゃいけないんだろう……
なんで彼とうまくいかないんだろう……
なんで自分はいつも損ばかりするんだろう……
どうして理不尽で嫌なことばかり起こるのか、その理由が分かればもう少し楽になれるのに……
あとどれくらいこんなにしんどい状況が続くのかがわかれば、もうちょっと頑張れるかもしれない……
そうして占いに行ってみたくなる気持ち、よくわかります。
何かに悩んでいたり、不安になっていたり。自分自分でも分からない「なにか」にモヤモヤしていると、その原因を知りたいと思うのは、誰にでもあると思います。
それに、うまくやっていきたいと思うからこそ、今の状況をどうにかしたいのだし。
占いは「こんな道もあるよ」「こんなやり方もあるよ」と、その人のその状況に沿った選択肢をみせてくれます。
ただ……選択肢は見せてくれても、その人の道を占い師が決めることはできません。どれを選びどの道を歩くかを決めるのは、その人自身だから。
とはいえ。
占い師から「こうしなさい!」「これはダメ」「これは天職じゃない!」といったように語気を強めて断言される方が嬉しい方もいるようです。
けれども、私は思います。不安や葛藤を抱えているときにそれを頼り切ってしまうのはおススメしません。
なぜなら、それが「依存」の始まりだから、です。
占いに「いい」も「わるい」も、ましてや「絶対」もない
ホロスコープやタロットに「いい」とか「わるい」などといった解釈はありません。また100%の「絶対」は読めません。
占いは「そいう状態になりうる」「そういうことがありうる」という可能性を提示するだけです。
たとえば私の占いの先生は、占い師になる前もなってからも「占い師なんか向いていない!」といわれ続けたそうですが、もう20年以上も第一線で活躍されています。
性格によって向き不向きはあるでしょうが、だからといって「絶対にできない」こともないわけです。
つまるところ、占いはあくまでも可能性をみるのであって、絶対的な出来事を測れるわけではありません。だからこそ、占いに自分の可能性を委ねてはいけないと思っていて、「占いは信じるのではなく活かすもの」といつもお話します。
なにより「占い」は、依存の危険性を常にはらんでいるものです。
人の五感を麻痺させることで、「あたかも当たったように思わせる」ことさえでき、それは、不安な相手にある種の思い込みを植え付けるとても危険なやり方です。
▶参考記事:タロットは怖い、と思われる理由は依存性をはらむから。その危うさも理解した上でタロットの良さをうまく使いこなそう
五感が奪われると依存や洗脳にはまりやすくなってしまう
心理学を学んでいたときに知ったことがあります。
それは「五感が麻痺してしまうと、ほとんどの人が自分で考えることを放棄してしまう」ということです。特殊な訓練をしておらず普通に暮らしていたならば、大抵の人がこうなるといいます。
たとえば、部屋を薄暗くすると視界が悪くなるためいつも以上に周りを注意深く見るようになります。大音量の音楽をかければ聴覚は過剰な刺激に見舞われます。強い香りは嗅覚を尖らせ、極端に寒かったり暑かったりすると、知覚が鋭敏になります。
意図的な演出によって一度に多くの刺激を五感に与えてしまうと、脳の情報処理がオーバーワークとなります。感じないようにするためにわざわざ感覚を鈍らせます。
果てはそれ以上の情報処理をしないために、まるでパソコンのフリーズのように、強制的なシャットダウンに陥るでしょう。いわゆる「思考停止」ですね。
思考停止になってしまうと自分で考えることを放棄し、誰かの言うがままに従った方が楽だと思うようになります。するとここから、誰かや何かへの依存が始まります。
また五感が奪われると、恐怖や不安にさいなまれます。一定時間その恐怖の中をさまよい、そのあと、五感への障害が取り除かれ、しかも優しい言葉や労いのことば、耳障りのいい言葉をかけられるとどうなるでしょう……
意図的に急緩をつけることで「あの人に助けられた」と印象づけることさえできてしまいます。
要は、五感を奪うのは演出によっていくらでも可能であり、人を依存させたり洗脳させるのは、それほど難しくない、ということです。
そうですね……
気持ちが不安定で葛藤や不安でいっぱいのなか、薄暗くて狭い、アンバランスな色彩と奇妙なグッズが置かれ、香が焚かれた部屋に案内され、「あなたの未来を的中します」と謳う貫禄ある人を目の前にしたら、どうでしょう?
占いも、演出しだいで簡単に依存関係を起こさせやすいのです。
だから占い師は、その辺りの自覚を持ったうえで「演出」も「占い」も扱うべきだと、私は思っています。
占い依存にならないための対処法
さて、もしあなたが「占いに依存してるかも……」と思いながら「あの占い師の言葉がないと不安でしかたがない……」となっているときは、感覚が弱っている可能性があります。
そのときはまず、五感がリラックスするように心がけましょう。不安な気持ちに襲われ呑み込まれそうになったら、できるだけ自然がある場所に行きましょう。
刺激の多い人工物ではなく、自然を感じられることが大切です。
また自然といっても、山や海などへ遠出をしないといけないわけでもありません。
木々が多い公園や神社の木陰でもいいです。空を見上げたり風を感じたり、鳥や虫の音が耳に入ってきたり。
日常の景色の中に自然を探してみてください。
どんな風が吹いていますか?
どんな景色が見えますか?
木々の葉は揺れていますか?
太陽は眩しいですか?
自然は誰もの身近にありますが、それを感じられるかどうかは別です。日常にある自然を実感できるならば、感覚のオーバーワークも和らぐでしょう。
五感のオーバーワークから思考停止で占いにどっぷりハマってしまう前に、自然を意識することから始めてみてください。
占いは頼るのではなく活かすといい
ちなみに。
占いをするのに、悩みがないといけないわけではありません。
鑑定に来られる方のなかには、「仕事がどうなるのかみてほしい」「彼との相性をしりたい」という方もいれば、「前向きにるためにとにかく話を聞いてほしい!」「アイデア出しを手伝って!」という方もいらっしゃいます。
身近な人だからこそ話せないこともあるでしょう。話せる人がいない場合もあります。また、とにかく最後まで聞いてほしい、ということも。便利な世の中になったとはいえ、「人と話したい」という気持ちは普遍なのかもしれないなぁ、と感じます。
もちろん占いをどう思うかはその人しだいです。
けれども占いに依存してしまうと、本来持っているはずの生きる力は発揮できないことは、確かです。
占い師からどんなに「いいこと」を聞いても、全く思うようにならない人生で終わってしまうこともあるでしょう。
占いが、流れに乗るためのヒントを出してくれることはあっても、占いがあなたの人生を決めることはありません。
また占いでどんなに「いい結果」がでても、自分がそのように動かなければ現実は変わらないし、逆に、「悪い結果」がでても、見方を変えて動いていけば、いつのまにかチャンスに変わっていることもあります。
自分の人生をどうするかは自分がどう動くかで決まるし、それが「いい」か「わるい」かは、あくまでも、自分自身が何を感じるか、でしかないからです。
このことが頭の片隅にでもの残っていれば、占い師の言葉に過剰に反応することもなくなるでしょう。
占いは「いつ、どうなりますか?」といった未来予知的なものから、さらに深い部分まで、たとえば、今に影響を及ぼしているパターン化された思考や感情のこと、その関り方なども読み解くことは可能で、どちらのご要望にも十分にお応えすることができます。
とはいえ、占いでどんなに「いい結果」や「わるい結果」が出ていようとも、現実的にどうしていくかの態度は自分で決めるしかありません。
そして占いは、その「態度を決める」ためのお手伝いができるものだと、私は思っています。
どうか、ご自身の感性を曇らせることなく「占い」を活かしてほしいと思います。
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