※使用しているタロットカードは「マルセイユタロット」です。
タロットカード「正義」の意味を数字から解釈してみる
「正義」のカードは「8」という数字があてはめられます。
ここでは、まずこの「8」という数字についてみていきたいと思います。
「8」は「圧縮」の数字です。
集中力やため込む力があります。
前の数字である「7」のとどまることを知らなかった運動力が、この「8」で停止をします。
「7」の運動力が停止するということは、つまり、「7」で放たれていたエネルギーが「8」になると自己のなかに圧縮され、これまでの運動・行動を客観しするようになります。
それはまるで「正義」のカードが示すように、秤で物事を見ることができる客観的な視点を身につけられた、という証なのだと思います。
「8」の段階になると、それまで一直線にしか運動することができなかったものを客観することによって、「この運動力をもっと効率的に活かすにはどうしたらいいのだろうか?」を考えられるようになるというわけです。
数字は、ひとつ足されるとごに前の数字を見直します。
また奇数は能動的で偶数は受動・静的な意味を帯びます。
ひとつ前の数字にできなかったことを、真逆の性質を帯びる次の数字で改善する。
数字の流れを人の意識の成長として捉えてみと、タロットへの理解がより深化します。
ちなみに「8」は力を圧縮する数字。ワンドの「8」は例外として、基本的に、圧縮した力を放つ作用はありません。
「圧縮」というと、力を溜めていまにも解き放つぞ! ということでもなく意外と冷静です。
エネルギーを巡らせるイメージです。
たとえば、オーケストラを指揮する指揮者のような。
すべての音に集中し音を聞き分け、かつ、全体の音を操りひとつの作品を作り上げる人。
ただし「ワンド」だけは圧縮すればするほどそのエネルギーを溜めこみますから、循環するまでにはじけてしまう、という印象です。
タロットカード「正義」の意味を絵柄から解釈してみる
天秤
公平を図る天秤
前のカードに描かれていた二頭の馬が天秤に変わります。
精神性と物質性は、均衡を図るために天秤にかけられ、それぞれを公平に扱うことができるようになります。
天秤は人物の左手に持たれカードの右側に描かれていることから、人から相談ごとがもちこまれたり、あるいは、公的な判断が求められることを示唆します。
剣
判断を示す剣
剣は理性や知性の象徴です。
「理性や知性をもって物事を判断する」と捉えることができます。
剣は右手に持たれカードの左側に描かれています。
そのため個人の意志は強いです。
客観的な目線から天秤によって公平に扱われたものたちへの評価や判断は、固い意志によって下されるのでしょう。
即決することはできませんが、軽はずみなこともしません。
その判断には説得力が伴います。
走り続けていた戦車はようやくここで停止することになり、ここで天秤の秤にかけられ剣の判断に仰がれるのでしょうか……
なんとなく、ほっとした気持ちになるのですよね……この、少し怖い顔にみえる「正義」の女神さま。
真剣な眼差しとは、なかなかに、あたたかいものだったりします。
タロットカード「正義」の意味をフランス語から解釈してみる
大アルカナの「正義」
このサイトでご紹介しているタロットはGrimaud社のマルセイユタロットであるため、フランス語名についても少し触れておきたいと思います。
フランス語(マルセイユタロットのグリモー版)では「LA JUSTICE」
「正義」「公平」「裁判」「法廷」という意味があります
人はそれぞれに自分の「正義」というものがあるでしょう。
それは主観的な価値観である場合も多々ありますが、ここには「公平」という意味があります。
自分の価値観を押し付けるのではなく、相手の価値観と自分の価値観をはかり公平に扱うことが求められます。
ここには、一人よがりはありません。
一方で、「裁判」や「法廷」という意味が示すとおり、支配的で権威的でもあります。
いちど下された判断や評価は、そうそう覆ることはありません。
もしかすると、そもそも「正義」というものは、自分以外の価値観も総じて理解した結果、それでも「これだけはゆずれない」というような、己の軸になる信念なのかもしれません。
さて。
「正義」というと、きつい言葉に聞こえてしまうことがあるかもしれません。
なにがいいのかわるいのか、を決める言葉でもありますから。
この言葉を振りかざすことには嫌悪感を覚えますが、ただ、自分の信念を貫くだけの気概は大切にしたい。
だからこそ「正義」のカードの天秤のように、自分と相手を客観できる目は常に磨きたいものです。
タロットカード「正義」から恋愛を読む
まだ相手がいない場合の「正義」からのアドバイス
まだ意中の人がいない恋愛のアドバイスに「正義」ができたら、自分からアタックしていくことを、しばらく休憩するといい時期だと捉えてください。
その代わりに、自分自身の現状をよくよく見つめる時期にしてほしいのです。
身だしなみは整っている?
下着や服装は大丈夫?
靴は磨けている?
大事なことは、胸を張って自分のことを人に勧められるかどうか。
それを、事実として見ることが大切です。
またこのときに「どうせ私なんて……」といった自己卑下は交えないことがポイント。
現状を事実として受け止めるだけです。
「正義」のカードは
ここでいったんリセット。現在地を確認してから次に進もう!と言います。
このカードが出てきたら、次に進むための棚卸しに最適な時期だと思って現実を整理する時間を作ってほしいと思います。
恋人とギクシャクしてきたときの「正義」からのアドバイス
パートナーとギクシャクしてきたとき「正義」が出てきたら、自分からアクションすることを控えてみてください。
たとえば……パートナーが気に障ることをしてきても、ひとこともいわずに黙っておく、など。
黙っておくこと自体が、腹の立つことかもしれません。腹が立ったらそれでもかまいません。でもここは、腹は立てても……黙っておく。
ただし、その腹立たしさは出すこと。
人にあたることなくその気持ちを吐き出す方法をやってみてほしいのです。
あれもこれも腹立つ腹立つー!! と、誰にも聞かれないところで叫ぶもよし。防音設備のあるカラオケボックスで叫んでもいいですし、お風呂のなかでもいいと思います。
むしゃくしゃしたときは、ジムで走るのもおすすめです。
誰かにあたる、意外であれば、どんな方法でもかまいません。「腹が立つ」ときのはけ口として自分のやりやすい方法を、ひとつ持っておくといいです。
またこういうときは相手と少しだけ距離をとること。
目につく距離に気になる人がいると……その人に当たり散らしてしまいかねないからです。
もし、なんとなく雰囲気が悪くなってきたなぁ、とか、ギクシャクしてきたなぁ、とか、ケンカしてしまった……ときは、とにかくこれまでやっていたことを止めること。
大きな深呼吸を2~3回してみてください。これで、だいぶ落ち着きます。
そうしたら次は、相手から少し離れる。トイレにいくふりをして部屋から出たり、黙ったり、既読スルーをしてみたり。
「正義」のカードはいいます。
「今は、自分の気持ちを確かめる時期。丁寧に、自分の気持ちに向き合って」と。
自分ひとりになれる時間を作って、ひとやすみ、してほしいと思います。
タロットカード「正義」から仕事を読む
仕事のキーカードで「正義」が出てきたなら、ここは、即決をしないことを意識してみてください。
仕事となると、効率や生産性が重視される傾向があります。判断も早いにこしたことはないのですが……
「正義」のカードがアドバイスとして出ているときは、できるだけ時間をかけて考えることが大切なときだと思ってほしいのです。
決めるまでの期限が決まっているなら、期限ギリギリまで粘ることです。
もちろん、ただ時間を過ごせばいい、というわけではありません。
「正義」のカードは、物事を天秤にかけて「はかる」カードです。はかったうえで決断をするカード。
やることの「メリット」や「デメリット」、あるいは、やならいことでの「メリット」や「デメリット」を、書き出してみる。
これまでのデーターをもとに収支のシミュレーションを出してみる
現状と理想を書き出し、どのくらいのギャップがあるのかを書いてみる
・
・
・
ここでのポイントは「比べる」こと。
そして早急な結論を出すのではなく、資料を分析し具体的な段取りや方法を出したうえで、結論することです。
タロットカード「正義」の意味つれづれ
なにか迷うことがあったなら、このカードを思い出すといいかもしれません。
「冷静に、公平に、判断せよ」「己の剣の使い方をよくよくみつめよ」
と、女神様が諭してくれるから。
もちろん最後に剣を振るうのは……女神でも他の誰かでもなく、いつも「自分」であることは留めておきたいものです。
ここまで「正義」についてみてきました。
少しでも「正義」に親しんでいただけましたなら、嬉しい限りです。
※参考図書
- 数の原理で読むタロットカード 松村潔(星和書店)
- 魂をもっと自由にするタロットリーディング 松村潔(説話社)
- 大アルカナで展開するタロットリーディング 実践編 松村潔(説話社)
- 数は何を語るのか F.C.エントレス、A.シンメル(翔泳社)
- タロットの秘密 バーバラ・G・ウォーカー(魔女の家Books)
- タロット象徴事典 井上教子(図書刊行会)
- ロワイヤル仏和中辞典 (旺文社)
- Le Robert Micro Dictionaire De LA Langue Franaise (DICTIONNAIRES LE ROBERT)
コメント