タロットは大アルカナが大事?小アルカナも勉強した方がいい?
タロットは大アルカナが大事、と聞いて、とりあえず大アルカナだけでも勉強しようと思い動画講座を受けています。
いろいろ覚えることがあって占えるようになるまでなかなか進まないのですが、この後、小アルカナも勉強した方がいいのか迷っています。
大アルカナと小アルカナの違いをよく分かっていませんが、大アルカナの方が大事なのだったら、大アルカナだけ勉強しておけば大丈夫ですか?
うらないば、のレッスンのお問い合わせで、このようなメッセージを頂戴することがあります。
これに対し私の意見は、「タロットの勉強をするならば大アルカナと小アルカナの両方を学んだ方が実用的だから小アルカナも勉強した方がいい」です。
なぜなら、大アルカナだけで占うことはとても難しいからです。
タロットカードは大アルカナ22枚と小アルカナ58枚で構成されていて、大アルカナと小アルカナはそれぞれ役割が異なります。
もちろん、「大」がつくからといって大アルカナが大事!スゴイ! といった優劣などありません。
単に、そこで表現されていることの役割が異なるにすぎません。
では、大アルカナと小アルカナにどんな役割の違いがあるのでしょうか?
ここでは大アルカナと小アルカナの違いを掘り下げてみたいと思います。
でもその前に。
まずは、大や小にくっついている「アルカナ」について明確にしておきましょう。
そもそも、タロットカードで称されている「アルカナ」とはどういう意味なのでしょうか?
日本語の「アルカナ」をフランス語にし、フランス語からラテン語へと語源をたどりながら定義していきます。
アルカナの意味
日本語の「アルカナ」はフランス語で「arcane」
「秘儀」や「秘密」と訳さる男性名詞であり、古典では「秘密の」「神秘の」という形容詞です。
この「arcane」の語源をたどると、ラテン語の「arcanus」という形容詞から「arca」にたどり着きます。
ラテン語の形容詞「arcanus」はフランス語で「discret, sûr」や「caché, secret, mystérieux」
日本語では「慎み深い・秘密を守れる、信頼した・疑いのない」や「隠された・目立たない、秘密の・人目につかない、不可思議な・秘儀の・神秘の」となります。
ここで「秘密の」「秘儀の」という言葉が出てきましたね。
またこの「arcanus」がさらに転じて名詞「arcanum」となり、フランス語にあてると「secret」、日本語で「秘密」
あるいは副詞にも転じ「arcano」、フランス語で「en secret, en particulier」、日本語で「こっそりと・内緒で、特に・個人的に」となります。
そして、そもそも「arcanus」は「arca」という名詞からきており、「arca」はフランス語で「coffre, armoire」あるいは「cercueil」や「cellute」
日本語では「(蓋つきの)大箱、たんす」あるいは「棺」や「個室・独房」となります。
秘密や秘儀と訳される「アルカナ」は、ここで、ラテン語の「(蓋つきの)大箱」や「棺」を表す言葉からきていることがわかります。
ちなみに、この”蓋つきの”というところが「秘密」に繋がるポイントなのかもしれませんね。
「その中に何が入っているの? 中に何が隠されているの?!」となっても不思議ではないからです。
また棺など、そうそう簡単に開けられないでしょうから、その蓋を開けるには「信頼」があるのでしょう。
そういうところから、「秘密を守れる、信頼した・疑いのない」あるいは「秘密の・人目につかない」といったラテン語の形容詞「arcanus」が生まれたのかもしれませんね。
さて、このラテン語が現代のヨーロッパの言語に分かれるときフランス語では「arcane」と語尾が変化します。
この「arcane」の意味はラテン語を引き継ぎ「秘密の」「秘儀の」
現代語で「arcane」は名詞で使われることが一般的ですから、「秘密」「秘儀」
つまり、日本語で言うアルカナ(aracne)は「秘密」「秘儀」
そして「大」とつくと「大秘儀」に、「小」とつくと「小秘儀」になるわけです。
では、その「大」や「小」にどんな違いがあるのか?
それは、カードをみれば一目瞭然です。
大アルカナと小アルカナの違い
大アルカナと小アルカナの違いをみるには、マルセイユタロットを比べてみると分かりやすいと思います。
大アルカナに描かれているものは、元型といわれるもの。
「元型」ですから、出来事でも人物に対しても「そういうものである」と解釈するしかありません。
一方、小アルカナに描かれているのはエレメントと数字(人物)です。
エレメントとは、西洋思想の「万物は4つの元素でできている」という考え方の「元素」にあたります。
これが「火・土・風・水」
タロットになると、火はワンド(棒)、土はコイン(貨幣)、風はソード(剣)、水はカップ(杯)によって象徴されています。
さて。
大アルカナに描かれているものは「元型」です。
「元型」とは、深層心理について研究し分析心理学を創設した精神科医で心理学者のカール・グスタフ・ユングが提唱した概念で、「個人に由来しない集合的無意識にある心的パターン」を指します。
ここではシンプルにどんな人も持っている心の奥底にある様相としておきます。
つまり、元型はどんな人にも共通する普遍的なことであり、その分、抽象的といえるでしょう。
ちなみに「元型」の提唱はタロットよりも新しいものですが、<「元型」といわれるようなものは昔から知られていたもののユングが名前をつけた>とすると……「元型」の提唱よりも古いタロットに「普遍的な人のパターン」が描かれているとしても不思議ではありません。
一方、世界のあらゆるものが4つの元素でできているという思想がベースになっているのが小アルカナ。
そこに数字(人物)が関わるため、小アルカナでは、それぞれのエレメントが数字(人物)によってどのように進化しているかを読むことになります。
つまり、この世に存在する「万物(もの)」の進化が表現されている小アルカナは物質的であるがゆえに、大アルカナの元型的な表現よりも具体的といえます。
このことから、大アルカナと小アルカナの違いをシンプルにまとめると
大アルカナは元型を表現する役割があり抽象的
小アルカナはエレメントと数字(人物)を表現する役割があり具体的で物質的
このようにまとめることができます。
実用を重視するならば大アルカナと小アルカナの両方は学んだ方がいい
さて、実用を重視するなら、やはり大アルカナだけではなく小アルカナも学んだ方が断然いいです。
なぜかというと、こちらの記事にも詳しく書きましたが
▶参考記事:タロットの大アルカナだけで占うことが難しいと思う理由
大アルカナだけだと表現が抽象になり具象を読むことが難しくなるからです。
抽象的になればなるほど、そこに含まれる意味は多くなります。
含まれる意味が多い、ということは、それだけ幅広いことに応えられるといますが、反対に、幅広い意味の中から具体的なことを表現するには、大アルカナの本質を理解し、かつ、具体的な表現にしていく技量が必要になります。
一方、小アルカナが入ることで具体的な表現を加えることができます。
時期を読むにしても大アルカナが示す範囲よりも絞ることができるし、出来事を読むにしても大アルカナを補足する役割を担ってくれます。
つまり、大アルカナや小アルカナの「どっちが大事」「どっちが優位」ということではなく、表現されることの広さの違いであり、大アルカナは小アルカナの具体的なことに核心を与え、小アルカナは大アルカナを補足する、という関係があるわけです。
そのため、タロット占いがしたくて勉強しようと思えば、大アルカナと小アルカナの両方を学んだ方が実用的だと私は考えています。
とはいえ……タロットをやっていくには、大アルカナも小アルカナも両方を一度に進めるには無理もあるでしょう。
そこで、ご提案です。
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