※使用しているタロットカードは「マルセイユタロット」です。
タロットカード「魔術師」の意味を数字から解釈してみる
「魔術師」のカードは「1」という数字があてはめられます。
ここでは、まずこの「1」という数字についてみていきたいと思います。
「1」という数字は「始原」を表すものと考えられています。
つまり、「1」はすべての数の基礎となる数字である、とされるのです。
その考え方が物事にもあてはめられ、「1」という数字に物事の「始まり」や「新しさ」「節目」という意味を与えるには、ちょうどいいのかもしれません。
ところで、タロットには「流れ」があります。この流れを汲めば、数字の「1」は「0」から流れてくるものです。
では……ここではいったい、なにが流れてくるのでしょうか?
なにもない、でも、なんらかの可能性を秘めた「0」が「1」になるとき、「0」のなかに秘められた「なにか」が暴露します。暴露があってようやく「始まる」のでしょう。
ここでいう「始まり」とは、全く何もないところから始まるのではなく、流れてきた「なにか」がその場でとどまることで、実態のなかった「なにか」を、私たちは見ることができるのです。
たとえこれまで使い古してきたものでさえ、それを使う場所がかわれば「新しい」ものとみられることがあります。
あるいは、使い古してきたものに「なにか」を加えることで「新しいもの」に生まれ変わることもあるのです。
ただし、環境や主体によって新しくなったものは、得てして異質でもあります。「新しいもの」を受け入れるまでの試行錯誤も必要です。
もちろん「始まり」がなければ、なにも生まれません。また、そこに甘んじていては、いつまでたっても前にすすみません。
1×2が2であるように、1×100が100であるように、どのような数に1を掛けても数が増えることはありません。
スタートを切るにもエネルギーは必要ですが、スタートを切ってからが、ほんとうの正念場だといわれる所以は、このような数字の特性に隠されているのかもしれません。
ちなみに……
「1」といえば「1番」「トップ」という印象もあり、今でこそ肉食系を自覚する私は、「1」というものに憧れることがあります。
とはいえ……子ども時代は臆病で、自分から「やりたいです!」すらいえない子どもだったんです!
その反動が今にきてるんやろうなぁ、と子ども時代を懐かしく思いながら、今は、「やりたいこと」へなかなかな野心を燃やしている今日この頃です(笑)
タロットカード「魔術師」の意味を絵柄から解釈してみる
人物
カードの左側(自分の右側)を向いている人物
意識は内に向かっています。
目線が左中央に向かっていることから、自身の野心や成功に関心が向いているととれます。
カードの展開法にもよりますが、魔術師の左側にカードがある場合、そのカードが魔術師の関心のターゲットであると読むことができます。
机
特定の範囲を示す机
机は場所を特定します。これは、環境の特定であるともみてとれます。
なにかを始めるとき、そこには必ずなんらかの環境があるはずです。
職場、家庭、学校、コミュニティや地域……大なり小なり範囲が特定された「場」のなかで何かが始まることを示すための「机」だと捉えるといいと思います。
また「机」は、本来四角形をしていますが、それが途中で切れていることが分かります。
タロットの世界観において「四角」や「四」という数字は、物質性を表し、それは「現実世界」を象徴することがあります。そして、この四角の机が途中で切れているところから、≪現実的に「なにか」があるわけではない≫ことも分かります。
つまり、あくまでも「始まったばかり」を表すのであって、そこに「成功」や「成果」をみることはできない、ということも同時に示唆します。
品物
四大元素を象徴する品物
タロットの大アルカナは「愚者の旅」と称されることがあります。
それは、「愚者」が大アルカナの1から21を経て成長する物語、として捉える考え方です。
すると「愚者」は、次に歩むのは「魔術師」となります。
では、魔術師のカードに描かれている品々は、「愚者」のときにはどこにあったのでしょうか?
そう。愚者がもつ袋のなかです。
これらが入った袋(愚者が持っていた袋)は、机の隅に置かれています。
中身は取り出され、コイン、ナイフ、カップが机の上に並べられています。そして魔術師が持つ棒もまた、袋から取り出されたものでしょう。
万物を形作る四つの元素「火・風・土・水」
棒は「火」、ナイフは「風」、コインは「土」、カップは「水」を象徴します。
愚者のときには封印していた力を、魔術師は解放した、というわけです。
いよいよ、世界を知る物語がスタートとした、といえるのかもしれません。
帽子
レミニスカート型の帽子
帽子は、頭を保護します。同時に「受け止める」を意味する道具です。
自信を保護すると同時に、自分と天を仕切る帽子から、天の啓示を受け取止める、と読めます。
また帽子は「レミニスカート(∞マーク)」といわれており、「レミニスカート」は方向転換を意味します。右回り(左回り)であったものは、中央を境に、左回り(右回り)となるからです。つまり、これまでの価値観の変化が起こる、と捉えることができます。
ただし、魔術師のレミニスカートは交差していません。
そのため方向転換というよりも、何かが方向性を持ち始めて進もうとしている、ニュアンスの方が大きいといえます。
ちなみに、このレミニスカートの帽子が交差するのが「11」の力のカード。
ここで交差せずに描かれているのは、「11」との比較を強調しているがゆえ、といってもいいように感じます。
タロットカード「魔術師」の意味をフランス語から解釈してみる
大アルカナの「魔術師」
このサイトでご紹介しているタロットはGrimaud社のマルセイユタロットであるため、フランス語名についても少し触れておきたいと思います。
フランス語(マルセイユタロットのグリモー版)では「LE BATELEUR」
「魔術師」という訳語のほかに、「大道芸人」「手品師」という言葉があてはめられています
このサイトで特に参考にしている、松村潔先生の著書に、魔術師を「フーテンの寅さん」と表現している記述がありました。
路上で商売道具を開き、軽快な口上で人を惹き付ける姿を、この魔術師に重ねても違和感がありません。
≪場所を決めて、そこに道具を並べて何かを始める≫という様相は、魔術師であろうが大道芸人であろうが手品師であろうが、フーテンの寅さんであろうが、共通する姿なのかもしれません。
そうそう。
フーテンの寅さんといえば……
実は今、週末の家族の楽しみようになっていることがあります。
寅さん映画の再放送を夕食のときに家族で観ているのです。
70代の父がテレビの主導権を握っていて、しかも、中学生の娘が気に入っているのです!
皆が楽しんでみているとき、ときどき私が、「寅さんって、露店で売る品物はどこから仕入れしてるんやろな?」というような細かいことをきくと、みんなにシラケられてしまいます(笑)
どうでもいいことを考えてしまうのは……私だけデスネ。
タロットカード「魔術師」から恋愛を読む
まだ相手がいない場合の「魔術師」からのアドバイス
出会いを求めている、ということを、まだ意中の彼がいない、とするならば、「魔術師」は「そろそろはじめどきだよ~」と暗示をしてくれている、と読むことができます。
一方、意中の彼がいるけれども恋愛への進展はない、という場合であれば、「はやくはじめようよ~」と背中を押している、と読むこともできます。
そして魔術師のいう「はじめようよ~」は「自分から!アプローチしてね」ということです。
これは、意中の彼がいない場合でも同じことです。意中の彼がいないのであれば、意中の彼を見つけることからスタートです。
だからもし、出会いを求めているときに「魔術師」がアドバイスで出たならば、こう考えてみてください。
「さぁ、今がはじめ時。動き出して! このまま待っていても……はじまらないよ」と。
恋人とギクシャクしてきたときの「魔術師」からのアドバイス
相手とギクシャクしてきたときに「魔術師」が出てくるときは、「リ・スタート」のタイミングを表している可能性が高いとみえます。
二人の関係のなかで、なんらかの節目にあるときに、出てくることが多いように思うからです。
魔術師はこういいます。
「自分はどうしたいの? これからどうやっていきたいの? とりあえず彼(彼女)がどう思うかはおいといて。まずは自分の気持ちに正直になろうよ。大丈夫。またここからはじめればいいから」と。
自分の想いを改めて確認するいいタイミングです。
タロットカード「魔術師」から仕事を読む
たとえば、大きなプロジェクトがはじまる、チームリーダーに初めて任命される、初めてのこんな仕事が舞い込んできた!……などなど。
「はじめて」のことを任される、と読むこともできます。
ですからここはぜひ! 任されたこと、舞い込んできたこと、に胸を張ってほしいのです。
これまでのあなたの仕事ぶりを知っている誰かが、「この人なら大丈夫」という判断をしたからこそ、任された(舞い込んできた)仕事です。
できる準備が整っていない人には、魔術師の「やってね」はこないものです。
魔術師はいいます。
「初めてのことは不安かもしれない。でも、あなたなら大丈夫。任せた! だから、顔をあげて。堂々と胸を張って。さぁ、いざ参らん!」と。
いいスタートを切ってほしいと思います。
タロットカード「魔術師」の意味つれづれ
魔術師に「猿まね」という意味があてられていることを知ったとき、私は少し驚きました。
「始まり」という意味から、「猿まね」には似ても似つかない「新しさ」を連想してしまうからかもしれません。
ただ「守破離」という言葉があるように、始めは「猿まね」から入ることが、結果的にオリジナルへと進化する道筋なのかもしれないなぁ、と思うと、「猿まね」がバカにできないことをつくづく身に染みます。
なにより、「猿まね」を確実にやり通すことってホンマに大変や~、と思うことが多い!のデス。
ここまで「魔術師」についてみてきました。
少しでも「魔術師」に親しんでいただけましたなら、嬉しい限りです。
※参考図書
- 数の原理で読むタロットカード 松村潔(星和書店)
- 魂をもっと自由にするタロットリーディング 松村潔(説話社)
- 大アルカナで展開するタロットリーディング 実践編 松村潔(説話社)
- 数は何を語るのか F.C.エントレス、A.シンメル(翔泳社)
- タロットの秘密 バーバラ・G・ウォーカー(魔女の家Books)
- タロット象徴事典 井上教子(図書刊行会)
- ロワイヤル仏和中辞典 (旺文社)
- Le Robert Micro Dictionaire De LA Langue Franaise (DICTIONNAIRES LE ROBERT)
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