※使用しているタロットカードは「マルセイユタロット」です。
タロットカード「法王」の意味を数字から解釈してみる
「法王」のカードは「5」という数字があてはめられます。
ここでは、まずこの「5」という数字についてみていきたいと思います。
「5」という数字は五芒星として象徴されますが、五芒星(いわゆる★型)の頂点を頭として、上部の左右が腕、下部の左右が足、とみたなら、「人」の姿となります。
そのため「5」という数は、その前の「4」の物質性の天に「光」が灯る状態を表し、それを「肉体に魂が入る」あるいは「人になる」と表現されることがあります。
また生まれたばかりの「人」ですから、あるいみ、子ども。
ここに「子ども性」をみることができます。「自分の想いを押し通す無邪気で自由なわがまま」といってもいいのかもしれません。
そのため「5」という数字には、自己肯定が高い無邪気な子ども。
「自己主張・自由・遊び」などの意味を持ちます。
子どものように元気で無邪気で、物事に囚われていない、しがらみがない、という意味での純粋さと自由はありますが、具体性を持ち合わせていない、という側面からは、未熟だ、と捉える場合もあるでしょう。
また五芒星(ペンタグラム)は「魔除け」の意味を持ちますが、「5」という数字も、外から入ろうする影響をはねのける、という意味で捉えることもできます。
人間存在を主張する「5」という数字は、個人の価値を評価します。
自己主張は強く、外に影響を及ぼしたい、という意味で、外へ放出するエネルギーは高く、常に外に関心が向いています。
一方で、外からの影響をはねのけようとするため、捉える視点を違えると、ワガママな数字、ともいえるでしょうか。
ところで。
魔除け、とか、ペンタグラム、などの言葉をきくと、なぜか頭の中でリフレインする節があるのです。
エロイムエッサイム~♪エロイムエッサイム~♪
知る人ぞ知る?! 水木しげるさんの漫画「悪魔くん」!
ちなみに、悪魔くんの魔法陣は六芒星で五芒星ではありません……!!
せっかくのついでなので補足すると、「魔法陣」は西洋の「魔法円」からきているそうですが、実はこの「魔法陣」という言葉は日本独自のものだそうです。
しかもその最初が……悪魔くん!!
水木しげるさんが「魔法陣」なるものを作りだした人物だということは、サブカル界隈では有名なお話だそうです。
タロットカード「法王」の意味を絵柄から解釈してみる
人物
カードの右側(自分の左側)を向いている人物
意識は外に向かっています。
多くの人に開かれた姿勢を持ち、公人や指導者的な役割を持っていることを示します。
指先は「技巧」を表し、胸の中心にあることから、心を動かす、感情に訴える技巧を持っていることが伺えます。
説得力がある人物なのかもしれません。
ところで……この人物には足が描かれていません。そのかわり、二人の人物が、足となるであろう位置に描かれています。
この二人の人物は、法王の近くに仕える者か信者でしょうか。
この図像からうかがえるのは、「法王は自ら動くことなく、二人の人物を介してその意志を広く知らしめている」ということです。
二人の人物が法王に依存し従順さを示す、とも読み取れますが、一方で、法王は二人の人物がいなければなにもできないのです。
もちつもたれつ
そんな言葉が似あうかもしれません
いずれにしても、タロットができた頃のヨーロッパにおいて「法王」は権威の象徴でもあったことは確かでしょうから、その権威的なニュアンスは未だに顕在でもあります。
勺
男性的な象徴である勺
勺は男性的な象徴を持ち、攻撃性や積極性を表します。
また直線的で、上下に持つと、天からの回路となる役割を持ちます。
法王は勺を左手に持っています。カードでいえば右側に描かれています。
つまり、勺の力は外へ向かっているのです。
また、天からの啓示を示す右上から、身近な人間関係を示す右下への回路となり、まさに「法王」の名が示す通り、天の意志を周りの人に振りまくことを表します。
権威的で堅い印象を持っていた「法王」なのですが、数字の「5」と結びついてからというもの、ときどき法王の口から舌がでてきて「あっかんべーっ」としてる法王がなぜか見えてしまうのは……私だけ……でしょう……まるでアインシュタインの様に。
おちゃめな法王、がいても、私はいいと思うんですよね~
タロットカード「法王」の意味をフランス語から解釈してみる
大アルカナの「法王」
このサイトでご紹介しているタロットはGrimaud社のマルセイユタロットであるため、フランス語名についても少し触れておきたいと思います。
フランス語(マルセイユタロットのグリモー版)では「LE PAPE」
「教皇」と訳されています。
「5」という数字にみられる自己を主張する様や他を排除するような姿勢は、どちらかといえば、中世ヨーロッパの教会の影響力が強かった時代の「教皇」を彷彿とさせるかもしれません。
もちろん、中世ヨーロッパの時代などは、歴史的な出来事をみても、よくもわるくも宗教と政治が持ちつ持たれつ、のようなところもあったと思いますが。
ちなみに、「LE PAPE」は「Sant-Père」ともいわれます。
「Sant」は「聖人」、「Père」はフランス語で「お父さん」という意味です。
タロットカードの「法王」に「父性」という意味が込められるのは、もしかすると、ここのあたりの影響もあるのかもしれません。
言葉は意味の象徴です。
言葉のなかに、それが発せられた当初の意味が現代の固定観念の一部として引き継がれ人々の無意識に根付いていても不思議ではありません。
つまり「父性」というものは、タロットカードが作られた15世紀から変わらず、「5」という数字に象徴される法王、つまり「自己を主張し他を排除するような姿勢」と「外の影響をはねのける保守の力」を持つ性質が少なからずあるのかもしれませんね。
家族を守るお父さん
そんなイメージでしょうか。
ところで……
パパ(papa)がパップ(pape)から派生したのかどうか……はわかりません!
興味深いところですが、ほんとうのことろは私も分かりませんが、個人的には、それもいいよなぁと思います。
数字の「5」のように、永遠の6歳児のようなお父さんは、子どもにとっても悪くないように思うから。
お母さんにとっても、お父さんのことを「そもそも6歳児だから」と思えた方がいいのでは? と思ったり……
だって……ねぇ。
大人だと可愛くないことでも、「子ども」だと思えばゆるせてしまうことが、いろいろとありますから(笑)
タロットカード「法王」から恋愛を読む
まだ相手がいない場合の「法王」からのアドバイス
「法王」が出てくるということは、どこが、自分に自信がないときが多いかもしれません。
アプローチをしてもうまくいかないことが重なっていたり、前の彼との別れを引きずっていたり。「どうせ私なんて……」が口癖になっているかもしれません。
そんなときの「法王」のアドバイスとして、「自己肯定感を高めるのよ!」とか「理想の相手が見つかるまで妥協をしてはいけないわ!」などということは簡単なのです。
けれども、そもそも、どうするれば「自己肯定感」を高められるのか?
やり方はいろいろあると思いますが、ここは「法王」ですから、「法王」にみる「子ども性」に注目してみたいと思います。
そこで、自分の頭の上に自分の手の平をのせて
「よしよし。よく頑張ってるよ。えらいね」と、自分で自分の頭をなでなでしてあげてほしいのです。
転んで泣いている3歳の子どもにお母さんが、「イタイのイタイのとんでいけー」というように、優しく「よしよし」と、自分で自分をなでなで。
自分で自分に優しくできたぶんだけ、自己肯定感は高まるものです。
恋人とギクシャクしてきたときの「法王」からのアドバイス
パートナーとの関係がギクシャクしてきたとき、「法王」がアドバイスカードに出てきたら、気持ちをこのギクシャクからいったん逸らすことが大切だと説きます。
法王はいいます。
「パートナー抜きで自分の好きなことを思いっきりやって」と。
大好きなスイーツを食べに行く!
ヨガでリフレッシュ!
ショッピングー!
山に登る
マンガ喫茶でマンガ読み放題!!
図書館にこもる
DVDを見まくる!
会社帰りに一人カラオケ~
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できれば、毎日一つづつピックアップして、せめて1週間ぐらいは続けてください。パートナーそっちのけで、自分の好きなことで楽しんでほしいと思います。
思いっきり自分の好きなことで遊んでパートナーとしばらく距離をとったあと、あらためパートナーに声をかけてみてください。「ねぇねぇ、二人で遊びにいこうよ!」と。
パートナーは、合わせ鏡のようなもの。
だから、あなたが「好きな自分」を、パートナーに見せてあげてください。そのためにもまずは、あなたが自分の好きなことで楽しむことが大切。
そうして自分と十分なコミュニケートをしてから、パートナーと向き合いお互いのことを話してみては、どうでしょう。
さて今回も、「法王」の「子ども性」に注目してみました。
そして「自分が楽しいことがまず大事」というのが、遊び心をもって生きる「法王」の一面でもあります。
タロットカード「法王」から仕事を読む
仕事で「法王」がアドバイスとして出てきたなら、ぜひ、仕事にかける自分の想いや信念を周りの人に語ってほしいのです。
「どうしてその企画をやる必要があるのか、どこに会社のメリットがあるのか、誰を幸せにするための仕事なのかを、真摯に表現しよう」が、「法王」からのアドバイスです。
「法王」に妥協はありません。それは、他者に対する妥協だけではなく、自分に対しての妥協もない、ということでもあります。
「これ以上はやらない方がいいかなぁ」などと、自らの意志を曲げることはありません。
やるならとことんやり尽くす、のが「法王」のカード。
そして、「あなたには誰がなんといおうとその信念を押し通しみなを説得するだけの力がちゃんとある」ということをいわんがために、「法王」がキーカードとして出てくるのだと思います。
タロットカード「法王」の意味つれづれ
「法王」のカードをみていると、子どものまま権威をひけらかすのはとても困りますが、子ども心を持つ成熟した大人が増えることはいいことだとも思うのです。
たとえば……元気に笑って可愛いひと
誰からも慕われる、そういう大人でありたいとつくづく思います。
法王のカードに、想いを込めて。
ここまで「法王」についてみてきました。
少しでも「法王」に親しんでいただけましたなら、嬉しい限りです。
※参考図書
- 数の原理で読むタロットカード 松村潔(星和書店)
- 魂をもっと自由にするタロットリーディング 松村潔(説話社)
- 大アルカナで展開するタロットリーディング 実践編 松村潔(説話社)
- 数は何を語るのか F.C.エントレス、A.シンメル(翔泳社)
- タロットの秘密 バーバラ・G・ウォーカー(魔女の家Books)
- タロット象徴事典 井上教子(図書刊行会)
- ロワイヤル仏和中辞典 (旺文社)
- Le Robert Micro Dictionaire De LA Langue Franaise (DICTIONNAIRES LE ROBERT)
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