タロットを引き直してもいいですか?
このようなご質問を、レッスンの受講生の方から頂くことがよくあります。
リーディングの練習に友人の相談を展開してみました。
すると、逆位置ばかりが出てきたんです。
ネットなどでは、逆位置が多すぎるときは占っている人の気持ちが乱れていたり、疲れているときだから占い直す方がいいなどと読んだことがあります。
逆位置ばっかり出てきていたら、自分の質問の仕方が悪かったんじゃないかとかいろいろ考えてしまって。
他にも、ケルト十字でコートカードが最後に出てきた場合に限って、カードを引き直し、そのカードを最終結果とするという方法を解説しているのを読んだことがあります。
確かにコートカードは主に人物を表すといいますから、これが最終結果に出てくるととても読みにくいと思います。
あと、自分の気持ちが沈んでいるときに占うと、タワーとかデビルとか、ネガティブなカードばかりが出てきたときもありました。
このときも、あまりにも自分の気持ちが反映されているように感じてしまって、引き直した方がいいのかも、と思ったこともあります。
逆位置が多いときや、他のサイトで解説されていたようにコートカードが結果に出てくるとき、あるいは、調子がイマイチなときとか、出てきたカードが「ちょっと違うかも」と思ったときはタロットを引き直してもいいのでしょうか?
ネットなどでもさまざまなやり方が飛び交っているため、引き直しについて迷う方は多いかもしれません。
特に逆位置ばかりが出てきたときの引き直しについてご質問を頂くことがよくあるのも確かです。
そこで。
ここでは、タロットの引き直しについてお話していきたいと思います。
タロットの引き直しをおすすめしない理由
私は、タロットの引き直しをおすすめしません。
逆位置ばかりが出てこようが、ケルト十字の結果にコートカードが出てこようが、自分の調子がイマイチであろうが、その時に出てきた展開を信頼してリーディングをしています。
その理由は二つあります。
ひとつは、タロットは「偶然」を読み解く卜術だから。
そもそもタロットは偶然性を読み取る卜術です。
その時その場で偶然に出たカードを読み取ることが肝心で、それをせずに「引き直す」ということは、その偶然を無視しているに等しくなります。
それでは卜術といえず、もはや、占いではなくなってしまいます。
そしてもう一つは、占う側の体調が万全でなくても逆位置ばかりであっても、リーディングがしにくくても、タロットの機嫌を損ねる方が嫌だからです。
これについては、もう少し詳しくお話していきたいと思います。
引き直しがタロットの機嫌を損ねてしまう?!
レッスン受講生の方に限らずプロとして活動されている占い師さんから、「タロットが読みにくいんです」という相談を受けることがあります。
カードの意味が分からないわけではない方々ですが、そのお話を詳しく聞いていると、タロットが機嫌を損ねているかもしれない、と感じる時があります。
同じ質問を繰り返したり、あるいは、逆位置が多く出ているから、出ている展開のリーディングがしにくいから、など、特に占う側の都合でカードを引き直している場合です。
同じ質問を繰り返したり引き直したりしていると、大アルカナが出てこなくなり小アルカナしか展開に現われてこない、とか、逆位置も出ていたのにだんだんと正位置しか現れてこない、など
質問に対する応えの本質はひとつしかないのに、それを表すためのカードの出方が極端に変化していく現象が実際に起こっているの見聞きするからです。
でも、どうしてそのような現象が起こりえるのでしょうか?
タロットは偶然性を読み取る卜術で、それを「やり直す」ということは偶然性を無視し自分の都合でカードを引き直すということですから、カードを信頼していないことと同じだからです。
そして、カードがひねくれてしまう、といってもいいでしょう。
そのため、引き直すと自分が苦手で読みにくいカードばかりが並んでいたりすることもあるようです。
また「カードを信頼していない」ということは、カードを読む自分を信頼していないことにも繋がりますし、ましてや、無意識に作用するのがタロットという道具であることを思えば、無意識を疑っていることになります。
けれども、無意識は疑われることを嫌う、つまり、向き合うべき無意識ではなく意識ばかりに目が向いてしまうと、だんだんと本質が見えなくなってしまい、当然、タロットが云わんとすることは分からなくなります。
そうして向き合うべきものから目をそらし続けるとどうなるか?
タロットをすることが嫌になっていくでしょう。
だから、カードのリーディングができなくなっていくわけです。
引き直しをしないために「迷いの種」を抑えておこう!
とはいえ、ネットに飛び交っているさまざまな解釈に迷ってしまうことはやむを得ないと思います。
あれだけ情報が氾濫しているのです。何がどうなのか、余計に混乱してしまうことがあっても不思議ではないからです。
ただ、そのせいでタロットのリーディングができなくなってしまうのはモッタイナイ。
そこで次は、引き直しを迷う種になりがちな逆位置とコートカードについてお話をさせてください。
逆位置を特別視しない
逆位置を捉えるときは、このひとつのことを覚えておくと大丈夫です。
それは、逆位置は決してネガティブなのではなく「ストレートではない」というだけ、ということ。
逆位置についてはこちらにも詳しく書いていますが
▶タロットの逆位置は解釈した方がいい?逆位置の考え方と読み方のコツ
正位置を起点として
- 正位置の範囲を超えてやり過ぎなのかもしれない
- 正位置の力が半分も出せていないのかもしれない
- 正位置の力がもう少しで出そうなところまできているのかもしれない
- 正位置とは真反対かもしれない
つまりは程度の問題なのです。
そのカードであることには変わりないけれども、そのカードの意味がどれぐらい強調されているのかの違いがあるだけです。
正位置を基本として、それよりも弱いのか、強いのか、といった具合に。
ですから、女帝が逆位置だからといって女教皇の解釈まで戻るわけではないし、デビルが逆位置だからといって節制の解釈まで戻るわけでもありません。
女帝は逆位置でも女帝で、デビルは逆位置であってもデビルなのです。
そこを抑えておくだけでも、逆位置のリーディングに迷うことがなってくるはずです。
コートカードを理解する
次にコードカードです。
▶参考記事:コートカードとは?タロットのコートカードの解釈と読み方のコツ
コートカードは、質問に対して
- 関わる人物像を表す場合
- 物事の状態を表す場合
の二つのケースがあります。
そしてここで押さえておきたいポイントは、コートカードに描かれていることが人物である以上、「そういう人物」を基本とすることです。
つまり、まずは「1.関わる人物」として捉えていき、「人物」として読みにくい場合に、「2.その人物を連想するような(関わるような)状況」として捉えていきます。
重視するのは「人物」です。
では、コートカードに描かれているのはどういう人物か?
それが、ペイジ・ナイト・クイーン・キングの4型です。
またどのスートでも「ペイジ」が基本であり、「ペイジが成長した姿」としてナイトやクイーン、キングが存在します。
そのため、リーディングでは<ペイジがどんなふうに育っていくのか?>を解いていくことになります。
それぞれの人物像としては
- ペイジ:少年・少女
- ナイト:青年(男子・女子)
- クイーン:女性(女性性)
- キング:男性(男性性)
となります。
ここで勘違いをしたくないのは、女性であってもキングになることはありますし、男性であってもクイーンになることがあります。
この場合は、男性性あるいは女性性の質の強調によるもの、と考えるといいでしょう。
またそれぞれの人物はエレメントにも対応していて
- ペイジ→土
- ナイト→風
- クイーン→水
- キング→火
となります。
そして、その人物はスートによって性格の違いが表現されることになります。
- ソードのペイジは風(ソード)の土(ペイジ)
- カップのナイトは水(カップ)の風(ナイト)
- コインのクイーンは土(コイン)の水(クイーン)
- ワンドのキングは火(ワンド)の火(キング)
の具合に。
このようにみると、たとえばワンドのキングは「火×火」で、どのスートのキングよりも火(男性性)が際立つことがわかります。そして、最も女性性が際立ちみずみずしいのは「水×水」でカップのクイーンですね。
このように、それぞれの人物の違いを「人物」と「スート」で読み解いていくといいわけですから、コートカードは、タロットの基本である4つのエレメントさえ掴めていればいいのです。
ちなみに、コートカードは<大アルカナと小アルカナ(数札)の間にあるカード>の位置づけです。
そして、その本質は「コードカードの人物を体験する」ことであり、その人自身の中にある「コートカードのような人物」と向き合っていくことにあります。
それを自らに重ねるのか、あるいは、他者(状況)によって見せられるのか、の違いがあるだけ。
ここも一緒に押さえておくと、コートカードのリーディングに迷うことはなくなるでしょう。
引き直しの理由にしがちな「自分の調子」の整え方
最後は、引き直しの理由にしがちな自分の調子についてのお話です。
これについては、「シャッフル」が解決してくれます。
シャッフルのやり方についてはこちらに詳しく書いていますが
▶タロットカードをシャッフルする理由とやり方。シャッフルの見栄えを気にし過ぎていませんか?初心者にも簡単な方法
シャッフルは、タロットに「今から○○についてカードでみたいのでよろしくね」と、目に見えない世界と目に見る世界を橋渡しをお願いするためのものであり、ある種の儀式です。
そして、このシャッフルは一種の瞑想。
自分とカードと無意識をつなげるための瞑想、といってもいいでしょう。
だからこそ、このシャッフルを適当にしないことは大切ですし、カードに「よろしくね」と親しみを込めながらシャッフルしたいのです。
そうすれば、たとえ疲れていて体調が悪かろうが寝不足であろうが、カードはちゃんと応えてくれます。
自分の状態をシャッフルで切り替えるつもりで臨むだけでも、十分ですから。
タロットの引き直しについてのまとめ
ここまで「引き直し」について見ていきました。
これらのことから掴んで頂きたいことは、タロットには引き直す理由がない、ということです。
もしタロットを展開してみて引き直したい、と感じたならば、それは、単なる自己都合である、ということ。
それは、リーディング力に自信がないからかもしれないし、あるいは、その展開が自分の想いに反しネガティブだと直感が働いてしまうから。
けれども、そこに囚われてしまうと、今度はタロットが「信頼してくれない!」と機嫌を損ねて大事なことを教えてくれなくなってしまいます。
すると、タロットとタロットを扱う人との距離がだんだんと広がり、そのうちタロットに対して親しみが持てなくなってしまい、ほんとうに読めなくなってしまいかねません。
タロットも人と同じです。
信頼してくれない人に、あなたは信頼を寄せますか?
特定の専門を極めた職人さんから「使う道具は自分の相棒だと思って接している」という話を耳にすることがあります。
そのように話す職人さんと同じような想いでタロットと接していると、自分と道具であるタロットの間に信頼関係が育まれていく感覚を得られるはずです。
だから、大切な人を想うように、タロットを自分のパートナーとして大事にしてあげてほしいと思うのです。
そのためには、タロットをもっと理解したい!と相手を知ろうとする気持ちも大事でしょうし、出てきたカード達を信頼して、兎にも角にも、出てきたものをそのまま読んでいくことが大切だと、私は思います。
どうかタロットともっともっと仲良くなって、タロットライフを楽しんでいかれますように。
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