※使用しているタロットカードは「マルセイユタロット」です。
タロットカード「女帝」の意味を数字から解釈してみる
「女帝」のカードは「3」という数字があてはめられます。
ここでは、まずこの「3」という数字についてみていきたいと思います。
「3」という数字は、生産性を表します。
またこの「3」という数字でようやく、二極にある関係性を客観することが可能になります。
「3」という数字は、たとえば「父・母・子」や「テーゼ・アンチテーゼ・ジンテーゼ―」という弁証法的考え方と結びつきます。
そしてここには、果てがありません。
休みなく生み出さなければ、その道は途絶えてしまいます。
「3」は豊かさを享受しますが、定着や安定という概念がありません。
休むことなく創造し続ける。
これが、「3」の意味するところです。
さて……ここでひとつ、ご紹介したいことがあります。
それは、クリエイティビティ(創造性)には欠かせない智慧です。
「アイデアのつくり方」で有名なジェームス・W・ヤングの言葉から引用します。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
これは「新しいなにか」を創造するためには重要な視点です。
「新しいなにか」の元となる源泉は、未知のものではなく「既知にある」というのです。
車輪の付いた荷車と蒸気の動力が結び付いて初期の車がつくられました。
電話とパソコンが結びつき、スマートフォンになったほどです。
もちろん、そのために既知を蓄える努力と既知を結びつけるための試行錯誤は必要でしょう。
とはいえ、アイデアの源泉である既知が豊富であればあるほど結びつけられるものの量も多くなり、アイデアが生まれれば生まれるほど豊かになる。
ここで注目したいのは、「3」の生産性を発揮するには、「2」の数字があらわす集積された智慧の土台があってこそ、だということです。
もし数字の流れが人の在り方を示すとするならば、「2」から「3」へ変化するように、私たちも、前段階の在り様をすっ飛ばして、豊かさを謳歌することはできないのかもしれません。
ところで。
「3」という数字は能動的で男性的な性質があります。ですがタロットの絵柄として女帝(女性)が描かれています。
「4」の皇帝と絵柄を間違えたんかなぁ、と疑ってしまいたくなるのですが……
ただ、女性しか子どもを産めない、という事実を考えると、「3」に、生み出す性質を強調したかったんかな、と思ってみたり。
そうそう、「生み出す」で思い出すのが娘を出産するときのことです。
生みの苦しみ、とはよくいったもので、陣痛があんなに痛いとは知らず、想像以上に何度も叫んでいた記憶があります。
しかもそばにいた母親が「うちはもうちょっと静かにあんたを産んだで。静かになれへんか?」とかも言ってました……
私:静かにできるんやったら叫べへん!!
母:あたりまえやん。
チーン。
タロットカード「女帝」の意味を絵柄から解釈してみる
盾
死と再生の象徴である鷲の盾
盾は防衛を表し、受動的です。
盾に刻まれている鷲は「死と再生」を象徴します。なんどでも蘇るのです。
それはつまり、果てない繰り返しなのかもしれません。
そんな盾が右手にあります。
右手は、個人の意志を表します。
つまり、自己主張が強くはねのけられてもくじけず新たなアイデアを披露する、このような読み方もできるでしょう。
勺
男性的な象徴である勺
勺は男性的な象徴を持ち、攻撃性や積極性を表します。
また直線的で、上下に持つと、天からの回路となる役割を持ちます。
ここでは、外からの受容性を示す左手に持ち、右上の「超意識」から中心まで伸びています。
つまり、無尽蔵にインスピレーションが己のなかに持ち込まれることを示します。
衣服の色
図像下部が物質性を表す赤色
赤色は「物質性」を表す色です。
また、その赤色の部分が図像の下部を覆っています。
それと比較すると、精神性を示す図像の上部は白色で空白が目立ちます。
つまり、物質的・実際的な欲求や関心が強いことが、読み取れます。
マルセイユタロットの「女帝」には母性的な印象を持ちます。子どもを守るお母さん、というイメージ。
一方、ライダー版の「女帝」は……なんとなく官能的。
ライダー版の「女帝」をみていると、なんか……誘惑されそうなんですよねぇ……
綺麗なお姉さんに見つめられると女でもタジタジするというかなんというか……私だけ?!かもしれません(笑)
タロットカード「女帝」の意味をフランス語から解釈してみる
大アルカナの「女帝」
このサイトでご紹介しているタロットはGrimaud社のマルセイユタロットであるため、フランス語名についても少し触れておきたいと思います。
フランス語(マルセイユタロットのグリモー版)では「L’IMPERATRICE」
皇帝の妻という意味で「皇后、皇妃」という訳と、女性の王という意味で「女帝」という意味があります。
「皇后、皇妃」として辞書にもでてくるのが、ナポレオンの最初の妻であるジョゼフィーヌ。
ナポレオンの妻になる前の色恋話は面白おかしく伝えられるところでもありますが、ナポレオンの隆盛を支えたことは確かでしょう。
ルーブル美術館に飾られているダビッドの絵からも見てとれます。
ナポレオンの妻になってからも浮いた話もちらほらあったらしく……
ところが皮肉なもので、彼女がナポレオン一筋になり始めると、今度はナポレオンの熱が冷めていったのか、この絵の戴冠式から6年後に彼女はナポレオンと離婚をしています。
一方で、離婚後もナポレオンのよき話し相手だったとかなかったとか。死ぬまで「皇后」の称号を持つことをゆるされたともいわれています。
タロットの女帝をみるたびに、このジョゼフィーヌを思い出すのは、このカードに女性的な豊かさと激しい変化をみるからでしょうか。
ちなみに「女帝」が逆位置になると、マリーアントワネットの名を思い出します。
どんなに「恵まれた環境」にあったとしても、周りを見ようともせずそこに驕ってしまうえば処刑されてしまう……
自分がどのような環境にいて、そこでどのような在り方であるのかは、ときどきは客観しておきたいものだと思うばかりです。
タロットカード「女帝」から恋愛を読む
まだ相手がいない場合の「女帝」からのアドバイス
意中の相手がまだ見つからない場合に「女帝」が出てくるということは……「アタックいくわよ!」とあなたの背中を押してくれています。
恋愛がうまくいかないと、自信を無くしてしまうことは仕方がないと思います。自分から積極的になる気持ちも薄れてくるかもしれません。
でも、だからといって、「自分には魅力がない」と、自己卑下をしないでほしいのです。
恋愛がうまくいくかいかないか、ということと、あなたの魅力は、関係がありません。その魅力が、相手に伝わるか伝わらないか、というだけです。
だから、「自分には魅力がない」といって、自分をあきらめることはしないでほしいのです。
「女帝」は
「あなたには魅力がある。こんなところで自分を諦めないで」と言います。
恋人とギクシャクしてきたときの「女帝」からのアドバイス
女帝は「感情を豊かにする」「感情を生む」というアドバイスをくれます。
彼(彼女)とギクシャクしているとき、たとえば、眉間にしわをよせながら怪訝そうな顔で相手のことを見ていたり、重苦しい空気の中でお互いによそよそしかったり、なんとなくイライラして落ち着かない状況があるのかもしれません。
すると「女帝」はいいます。「ちょっとこっちきて鏡観みて、ちょっと笑ってみ。いっぱい泣いて、いっぱい怒ったらええから、おんなじだけ、笑うこともやってや」と。
また相手に直接「イヤ」といえないときもあるかもしれません。
そのときは、「イヤ」を誰かにあてるのではなく、誰もいないところでひとり、たとえば、新聞をビリビリと破るとか、カラオケで暴言を吐きまくるとかでもいいので、誰かを傷つけることなく一人で吐き出しを完結することが大事。
「気のすむまで泣たらええし、怒ったらええよ。ほんだら、おなじくらい笑えるから」と女帝は言うでしょう。
タロットカード「女帝」から仕事を読む
仕事で「女帝」が出てきたら、何かを生み出すのにいいタイミングと捉えてみてください。
また同時に、アイデアも湧いてきやすい時期でもあり、自分の意見も通りやすい時期と考えることもできます。
女帝はあなたに
「今は生み出すタイミング。だから、ワンマンプレーよりもチームプレーを大切にして。ひとりでできることは、限られている」とアドバイスします。
新しい何かを生み出すためには、ひとりでやるよりも数人で協力し合う方がうまくいくでしょう。
タロットカード「女帝」の意味つれづれ
「魔術師」の陽の気と、「女教皇」の陰の気が交わる果ての「女帝」です。
そのため「生み出す」という解釈があてられるわけですが、本質は「陰陽の交わり」にあります。
そんなクリエイティブな「女帝」のカードは、「新しいなにか」を生み出す存在や状態として読まれることがしばしばです。
また「正位置」であれば、精神的にも物質的にも恵まれた状況を表し、かつ、その状況を全肯定で受け入れているわけですから、疑うことのない自己肯定に自己愛をも持ち合わせます。
「女帝」が特に逆位置になると、しばしば「自己愛」というキーワードが浮かびますが、それは、「恵を受け入れられているかどうか?」という「女帝」の問いがあるからです。
いずれにしても。
表面的なカードの意味や解釈に囚われることなく、タロットにみえる本質を理解し、そこから発生する自由な創造性は、リーディングにおいても大事な要素だと思います。
ここまで「女帝」についてみてきました。
少しでも「女帝」に親しんでいただけましたなら、嬉しい限りです。
※参考図書
- 数の原理で読むタロットカード 松村潔(星和書店)
- 魂をもっと自由にするタロットリーディング 松村潔(説話社)
- 大アルカナで展開するタロットリーディング 実践編 松村潔(説話社)
- 数は何を語るのか F.C.エントレス、A.シンメル(翔泳社)
- タロットの秘密 バーバラ・G・ウォーカー(魔女の家Books)
- タロット象徴事典 井上教子(図書刊行会)
- ロワイヤル仏和中辞典 (旺文社)
- Le Robert Micro Dictionaire De LA Langue Franaise (DICTIONNAIRES LE ROBERT)
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