コートカードとは「人物カード」ともいわれ、特定の人物が描かれた16枚のカードを指します。
このコートカードの解釈については、レッスンや動画講座の中でもご質問いただくことは多いです。
コートカードは「人物カード」といわれるぐらいなので「人物」にフォーカスしてしまいがちです。けれど、必ずしも「人物」を表現するわけではないところが、このカードの読み方を難しくしてしまうのだと思います。
人見知りで人との関りを避けている方なのに、展開の中でコートカードばかりが出てくると「いったい誰のことやろ??!」となって、とても読みにくいです。
あと、コートカードって「○○なタイプ」と表現されていることも多いので、コートカードが出てきたらそんなタイプの人を思い浮かべてみるのですが、見当がつかないことも多いんです。
なんでコートカードってあるんですかね……読みにくくて仕方がありません。
鑑定をしていてコートカードが出てきたら、お客さんに「こんな人って周りに心当たりある?」と聞いてみることもあるのですが、「そんな人いません」となると、どう読んだらいいのか、一瞬、頭が真っ白になってしまうことがあります。
それと、たとえば恋愛の相談で相手が年上の男性なのに「クイーン」が出てきたら、どんなふうに表現したらいいのかも戸惑います……
読み方のコツを教えてください!
このようにコートカードの読み方に悩んでしまうことは、多かれ少なかれ経験するところかもしれません。
幾度となくカードに触れていても、何を表しているのかのニュアンスが掴みづらいところもあるでしょう。
けれど、コートカードと親しめるようになるとタロットのリーディング力がぐっと増します。
ぜひ、たくさんの方にコートカードを読むコツを掴んで活かして頂きたいと思い、今回は「コートカード」をテーマにお話していきたいと思います。
コートカードとは?
コートカードとは、いわゆる「人物像カード」といわれるカードのことですが、まずは、タロットの構成として「コートカード」がどのような位置づけにあるのかをお話させてください。
コートカードの位置づけ
タロットは78枚で構成されていて、大きくは2分類「大アルカナ22枚」と「小アルカナ56枚」に分かれています。
そして「コートカード」はそのうちの「小アルカナ」に分類されているカードです。
ただマルセイユタロットの場合は特に、この2分類で考えるよりも3分類とした方が、コートカードの特徴が掴みやすいように思います。
小アルカナのうちコートカードは人物が描かれた「絵」として表現されていますが、「数札」はまさに数のカードで、トランプのように象徴がその個数だけ描かれているとてもシンプルなカードです。
そして、この絵柄にコートカードと数札の違いがあるのですが、「小アルカナ」として同じ一括りに捉えてしまうと、コートカードと数札にある違いを意識できないまま扱ってしまうことがあるように思います。
またこの違いを曖昧にしてしまうことでコートカードが読みにくくなっているのでは?と感じることも多く、ならば一層のこと「別もの」として、意識的に3分類と捉えた方がわかりやすいと思いました。
なにより3分類にする方が、コートカードの役割がハッキリとします。
- 人が人生で経験するであろう「普遍的なもの」や「運命」を象徴する大アルカナ
- 現実的あるいは具体的な「出来事」や「事象」、「運勢」を表現する数札
- 大アルカナの「運命」を以って、数札の表す「現実」を生きようとする、「人の在り様」を表現してくれるコートカード
大アルカナは「人の性として抗いようのないもの」を象徴し、≪「そういうもの」だからしょうがない≫といった潔さがあります。
数札は「物事」の状態、状況を表現してくれます。
そしてコートカードは、その狭間を生きる「人」の状態、状況を表現していて、つまるところ……コートカードは「人間味」を表すカードで、その時その環境に生きようとする≪その人≫を象徴的に表現する役割を持つカードです。
大アルカナや数札より「人間らしさ」を表すのが特徴です。
では、このようなコートカード。実際には、どのように読んでいけばいいのか? についてお話していきます。
コートカードの読み方
コートカードは「人物像」と「スート(エレメント)」を組み合わせて読むのが一般的です。
という4人の人物が
▶ソード=風 ▶カップ=水
の4エレメントのうちの、ひとつ特定したものを持っている姿が描かれたカードだから。
なお「火」「土」「風」「水」という4つのエレメントはタロットの基本になる思想でもあり、大アルカナや数札を読むときに身につけられていると思いますので、ここで個別に詳細な言及をすることは控えておきます。
その代わり、ここではコートカードの特に「人物像」について詳しく言及していきたいと思います。
人物像の違いを押えておこう
コートカードの違いを読み取るためにも大事になるのが人物像の違いです。
コートカードは、象徴的に「4人」の像が描かれています。それが「ペイジ」「ナイト」「クイーン」「キング」という4人です。
なかでも、コートカードの「人物」の基本になるのは「ペイジ」。そして、「ペイジが成長した姿」としてナイトやクイーン、キングが存在すると考えます。
そのため、ペイジがどんなふうに育っていくのか? を考えてみると、それぞれの人物の違いが汲み取りやすくなると思います。
それぞれの人物像としての違いを一覧にするとこのようになります。
ペイジ |
ナイト |
クイーン |
キング |
|
イメージ |
種/芽 |
成長/プロセス |
成熟 |
実り/形/実現 |
性質 | 陰/受容 | 陽/能動 | 陰/受容 | 陽/能動 |
エレメント | 土 | 風 | 水 | 火 |
人物像 | 少年/少女 | 青年(男子/女子) | 女性(女性性) | 男性(男性性) |
ペイジが持つ「種」が芽吹き、ぐんぐん成長するナイトとなり、成長したナイトはその経験をもっと誰かに活かしたいと、今度は動きを止めて成熟させるクイーンとなります。そして、いい具合に発酵したら……熟成した実りを周りに振る舞うキングとなる。
こんな成長物語が、コートカードには隠れています。
そして、このような成長段階を表すコートカードですから、勘違いをしたくないのは、女性であってもキングになることはありますし、男性であってもクイーンになることがある、というところ。
この場合は、男性性あるいは女性性の質の強調によるもの、と考えるといいでしょう。
またそれぞれの人物はエレメントにも対応していて
- ペイジ→土
- ナイト→風
- クイーン→水
- キング→火
となります。
そして、その人物はスート(エレメント)によって性格の違いが表現されることになります。
- ソードのペイジは風(ソード)の土(ペイジ)
- カップのナイトは水(カップ)の風(ナイト)
- コインのクイーンは土(コイン)の水(クイーン)
- ワンドのキングは火(ワンド)の火(キング)
の具合に。
すると、たとえばワンドのキングは「火×火」で、どのスートのキングよりも火(男性性)が際立つことがわかります。そして、最も女性性が際立ちみずみずしいのは「水×水」でカップのクイーンです。
このように、それぞれのコートカードの違いを「人物像」と「スート(エレメント)」で区別していくことができます。
コートカードの意味と解釈
さて、コートカードの実際的な意味や解釈を一覧にまとめてみました。
ここに掲載している意味は、実際の鑑定などで私が感じることの多かったカードの印象を言葉にしたものです。
そのため、表記している意味は、そのカードのあくまでも一部分を切り取っているにすぎません。
なのでぜひ、これをきっかけに、コートカードに描かれた人物たちのイメージをご自身なりに膨らませ、ご自身の言葉でコートカードに親しんでほしいと思います!
ワンドのペイジ(火×土) ビジョンを描く、将来に逸る、進む道を見つける、誇大、やんちゃ |
コインのペイジ(土×土) 真面目、健全、健康、地味、平凡、細かい、慎重、模倣、固い |
ソードのペイジ(風×土) 話し上手、言葉が上手い、軽快、器用、流行、素早い、切り替え上手 |
カップのペイジ(水×土) 純粋、可愛らしい、甘え上手、繊細、やさしい、駄々っ子 |
ワンドのナイト(火×風) ビジョンに向かう、行動的、衝動で動く、熱しやすく冷めやすい、自意識過剰 |
コインのナイト(土×風) 慎重に動く、機を待つ、時間をかける、地道、粘り強い、確実性を重視する |
ソードのナイト(風×風) 疾走する、急展開、動いて考える、即決、弁が立つ、有無を言わさない |
カップのナイト(水×風) 気持を傾ける、愛情表現、心の交流、縁を繋ぐ、サポートする、応援する |
ワンドのクイーン(火×水) 元気で豪快、活気、世話好き、姉御肌、細かいことを気にしない明るさと雑さ |
コインのクイーン(土×水) 穏やか、安定感、堅実、育てる力、貯める力、守りの姿勢、頑な |
ソードのクイーン(風×水) 聡明、公平、物怖じしない冷静さ、切り捨て上手、知性と感性のバランス力 |
カップのクイーン(水×水) 受容力、豊かな感情表現、母性、引き寄せ力、思い込む力、妄信、多情 |
ワンドのキング(火×火) 起業家、豪傑、創造実現力、情熱家、野心家、ワンマン、独断的、我欲 |
コインのキング(土×火) 実業家、資産家、持続力、守護者、保守的権力者、既得権益、強欲 |
ソードのキング(風×火) 頭脳明晰、理念理想の重視、士業、筋を通す、断じる力、容赦ない正論 |
カップのキング(水×火) 包容力と理解力、情の深さ、対人援助、スピリチュアル気質、好色、オカルト |
コートカードのイメージを膨らませるきっかけにしていただけたなら嬉しいです!
コートカードを読むコツ
では、次にコートカードを読むコツです。
コートカードは質問に対して
- 人物を表すケース
- 身を置く状況状態を表すケース
の二つのケースを読むことができます。
ただし、そもそもコートカードは「人物」を象徴しますから、まずは「1.人物」として捉えていき、「人物」として読みにくい場合に、「2.身を置く状況状態」として捉えていく方が読みやすいでしょう。
人物として読む場合
「1.人物」としてみる場合、大事なことは「自分」か「他人」かを読み解くことです。
コートカードが「他人」と思えないならば「自分」と捉えるといいでしょう。
その時は、「どのような行動傾向を持つ人物」であり、あるいは、「どう在ろうとする人物」なのか、を、先ほどの「人物像」と「スート(エレメント)」の組み合わせによって解釈します。
身を置く状況状態として読む場合
他方、そもそも「人物(誰か)」として読むことが難しい時は、そのときに遭遇している(しそうな)環境と捉えます。
つまり「2.身を置く状況状態」として捉えるのですが、この場合は「そのような人ならどうするか?」を考えることがポイントです。
なぜならコートカードは、あくまでも重視するのは「人物」であり、なかでも「人としての在り方」を起点として読むことになるからです。
「そういう人なら何をしそうか?」「どんなことを言いそうか?」から連想していき、そして「それをしたら(言ったら)どんな出来事に巻き込まれやすそうか?」「それができる人は(いえる人)はどんな環境にいそうか?」と考えていくといいでしょう。
つまり、コートカードの人物像からその人がしそうなこと、身を置きそうな環境を想像することで、コートカードを「出来事」や「事象」「状態」として切り替えて読めばいい、ということです。
この時は、「そういう人なら……」という想像力が大事になります。
コートカードを活かしてみよう!
さて、ここまでコートカードの解釈や読み方のコツについてお話してきましたが、コートカードをもっと活かしてほしい! と思い、コートカードを自分に活かすためのお話を別の記事でご紹介しています。
これは人間関係で悩んだときに活かせる使い方なのですが、コートカードの特徴を活かした最もシンプルで誰でも使える簡単な方法です。
▶人間関係で人との接し方に悩んだときに活かせる最もシンプルで誰でも簡単にできるコートカードの使い方
ご参考になれば嬉しいです!
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