タロットに同じ質問で占いたいときは3ヶ月以上は空けないといけない
タロットに何度も同じ質問をしてはいけない
こんなことを耳にしたことがある人は多いかもしれません。
けれどもこれは占い師の考え方によるものであって、タロットにこのような決まったルールがあるわけではありません。
あることといえば、「いくらタロットに同じ質問をして占っても同じような結果しか得られない」ということぐらいです。
心理的に考えても無意識に変化が得られない限り状況は何も変わらないわけですが、タロットもこれと全く同じで
「どれだけ今を嫌っても、不満が溢れてきても、意識的に情動を変えて無意識的な変化を促していかなければ、身を置く環境は依然と変わらない」
ということしか教えてくれません。もちろん逆にいえば、無意識が変われば状況は変化していくわけですが……
ただそうはいっても、お客様によっては、1ヶ月や2ヶ月、あるいは1週間経つか経たないかの間に同じことを尋ね来られることは現場にいるとよくあることで、なかには納得いく結果が得られるまで、同じ質問を繰り返すために占い師をジプシーする方もいるほどです。
たとえタロットが教えてくれることは前回とそれほど変わらないとしても、同じような状況が辛くて変わらないからこそ、希望が欲しくてなんどでも同じことが聞きたくなる気持ちもよく分かります。
無意識を変化させることは、なかなかに時間のかかるものでもあるからです。
さて。
ではこのような無意識の事情があったとして、同じことを質問されるときはどのようにセッションを進めていくといいのでしょうか?
今日は、そんなお話です。
状況が辛いことに変わりないからこそ聞きたい
先生、前回からまだ1ヵ月ほどしか経過していないのですが、現状とこの先の未来についてみてほしいんです。
そんなに運気が変わるわけでもないことは分かっています。
でも今、ほんとうに仕事が辛い状況で……いつ今の職場を辞めようか、そればかりを考えている状態です。
もちろん、現実的に考えると辞めることがいいことだとは思っていません。それも分かっているんですけど……それでも、これから仕事がどうなるのか、転職ができる可能性があるのかどうかを知りたいんです。
毎回同じことばかり聞いてすみません。
相談に訪ねてこられる方は、状況が辛いことに変わりないから聞きたいのです。同じことを。
だからこそ相談を受ける占い師は、相談者の気持ちを受け止めることも大事だと思っています。
けれども同時に、占い師が相談者を占い依存にさせないことも大事。
そしてそのためにも、毎回同じ結果であっても誤魔化さずに同じことを繰り返し伝えること。
そしてもうひとつ、「相談者のなにがその人に同じ質問をさせるのだろうか?」をひも解きながらセッションを進めていくことです。
相談者の本音はどこにある?
誰かに聞いてほしい、という心情
どれだけ現実を頭で理解していようとも、感情の処理の仕方が分からなくなってしまうことは誰にでもあることです。
たとえば「月」のカード
このカードが出てくるとき
相談者の中から得体のしれない感情が湧き上がってきて、それを感じることへの怖さと不安から身を守ろうとするあまりに、周りと距離感を置こうとし、あるいは、攻撃的になってしまう。
そんな心の様子を伺えることがあります。
「ほんとうは嫌だけれど、それを言うと相手に迷惑がかかるだろう」と自分のことより相手のことを優先しすぎたり
「こんなことを考えてしまうから自分はダメなんだ」と自己卑下して「頑張らなきゃ!」とやり過ぎる
すると「月」のカードが出てきて、内面の奥底から得体のしれない気持ち悪さが込み上げてくる様子を教えてくれるのだと思います。
そしてもしセッションでこのようなカードが出てくるときは、「自分の感情との付き合い方」がテーマになっているため、相談者の話をただ聞くだけでいい。
そういうときがよくあります。
よくよく話を聞いていくと、相談者自身が「周りからみると自分のいる状況はそんなに悪くはない、むしろ、恵まれているのは分かっている。私のワガママなんです」と自分から話してくださることも多く、自分で自分のことを話しているうちに気持ちの整理がついて、最後には「今日は話を聞いてくれて嬉しかったです」と、憑き物が落ちたような落ち着いた表情で帰っていかれます。
占い師が「相手に何かを伝えなきゃ!」と意気込むと、むしろお節介にもなりやすいこの状況。
こういうときは、カードからどんなことが読み取れていようとも、敢えて何も話さずに「ただ聞く」という姿勢があればいいのだと思います。
「話す」ことは「放す」ことにもつながるから。
できるだけ相談者が話しやすいように、話せるように、セッションを進めていきたいものです。
本音が出せない、という心情
思っていることや感じていることはあるのに、それがうまく表現できずに行き詰っている様をタロットから読み取ることがよくあります。
たとえば「力」の逆位置が出ているとき
「力」のカードは、自分の意識と無意識がつながる様子を表現していますが、それが逆位置になるとき
潜在的に思っていることや感じていることが分からなくなっている、と読み取ることができます。
そしてそういう場合は特に、その人自身、本音を隠してしまっていたり、あるいは、気づかないふりをしていたりすることがあります。
たとえば「仕事」をテーマにすると「仕事を辞めたいとはいうけれど、本気ではないのだろう」と読み取れる、ということです。
そして、「辞めたい」のが本音ではなく「休みたい」だけ、ということもよくあることです。
自分が休んでしまうと他に迷惑をかけてしまうから「休みたい」とは言えない。
休んでしまうと仕事が溜まる一方で休んだ次の日がもっと大変になることが想像できるから「休もう」とすることができない。
「休む」ことを後回しにしているうちに、そのうち気持ちにだんだんと余裕がなくなってきてしまって、どんどん自分を追い詰めてしまう。
ほんとうは「休む」ことが必要なのは分かっているのだけれど、まだ体は動けるからと休みを取ろうとしない。
けれども、ここにもし「塔」のカードが一緒に出ていようものなら……
「塔」のカードの中心に描かれている「タワー」は、その人がこれまでに積み上げてきたもの。
たとえば、これまで積んできたキャリアであったり経験だったり知識・智慧、もっと物質的なものでいえば、今の生活や家族、持ち物、そして自分の「肉体」さえ含まれていると捉えることができます。
そんな「タワー」に落雷し、「タワー」の頭の部分が崩れている絵が描かれているわけです。
ここから読み取れることは……「体を壊す」ということ。
それが目前に迫っている、とさえ読み取ることができます。
そしてこういうときは、タロットから読み取れることをそのまま淡々と伝えます。
相談者はきっと「分かっているけどできない」とおっしゃるでしょう。
それでも。
占い師ができることは、タロットカードから読み取れることを伝えるしかできないわけです。
ここに「恋人」の逆位置や「審判」の逆位置などがあれば、「自分が必要とすることが分かっていて、それすら自分に与えることができず自分を労わることができないのであれば、転職をして仕事を変えようが、同じような状況はまたやってくるだろう」となるでしょうし
どのみち、無意識とつながり行動をしていかなければ「力」の逆位置のままであることに変わりありません。
自分が身を置く環境は自分の行動から作っていくしかないし、もし今の環境に不満があるならば、そこの本音と向き合わないままに今までと同じことをやっていれば、当然不満は繰り返される。
こういうことさえ、読みとることができるわけですから。
誤魔化さずに読めるまま淡々と伝えること。
それしか、できません。
同じ質問に応えるときに大事なこと
さて、ここまでよくある事例を挙げてみましたが、タロットリーダーだからこそ理解しなければならいことは、お客様が言葉にしないことさえ見ることができてしまうのもタロットという道具だ、ということです。
そして、お客様の言葉が本音とは限らない、ということ。
それは決して、お客様が嘘をついている、ということではなく、お客様自身が、気づいていない、というだけです。
だからこそ、占い師はタロットという道具を使ってお客様が気づいていないことを解き、お客様が本音に沿って進めるよう、お手伝いできるのだと思います。
けれども本音とは、必ずしもその人にとって心地のいいものとは限りません。
ずっと奥にしまい込んできたことならば、なおさら、それを知ることは怖いでしょうし、見てしまうとプレッシャーに思ってしまうこともあるでしょう。
そこを占い師が理解しないままでいると、セッションの進め方によってはお客様を無意識に脅迫しかねませんし、依存関係に陥れることをしかねません。
そうならないためにも大事なことが先にお話したことたち。
お客様の「本音」を解きながらも
- ただただ、聞く
- お客様から尋ねられれば、誤魔化さずに読めるまま淡々と伝える
こと。
そしてもうひとつ、ここで付け加えたいことがあります。
それは、「最初の展開が土台にある、という視点を持つこと」です。
特に同じ質問が繰り返されるケースにおいて展開されるカードにそれほど変化が見られない場合は、どれだけ前のことであっても、<お客様が初めてその質問をされたときに出てきたカード達が土台にあって、その上に、変わり映えのない状況が積み重なっている>という視点を、毎回、リーディングの中に含めることです。
この視点を持っていると、お客様の内面に前回からどんな変化が生まれているのか、あるいは、変化していないのか、がよく分かりますし、問題の根っこからブレずにセッションを進めることができます。
もちろんそのためには、どんな展開があったのかを覚えていることは大事。
たとえばアンカリングのテクニックなどを使って、占い師が自分自身の無意識の引き出しをいつでも自由に開けられるようにし、大アルカナやケルト十字の4枚目のカードなど、そのときの展開の特徴ぐらいは記憶から取り出せるようにしておくのも、占い師の器量だと思います。
同じ質問の先に訪れるもの
同じ質問を繰り返す
そこに隠された相談者の心情さえもカードから読み取ることができるわけですから、相談者の「苦しくてしんどい」という気持ちを汲み取りながらタロットを素直に読んでいくことは、欠かせません。
もし「依存」のことを心配するならば、相談者に「なぜそう読めるのか」まで説明しながら伝えられるといいと思います。
客観的な視点を失うことが依存を生み出す原因にもなりますから、客観的視点を守るためにも「説明できる」という意識は持っておきたいものです。
そうしていると、そのうち、同じ質問を繰り返すなかでカードの出方が今までと印象が異なるときが出てきます。
そのときは、相談者の何かが吹っ切れたとき、といってもいいのかもしれません。
試行錯誤しながら自分自身と向き合い過ごすうちに、少しずつ無意識レベルで情動が変化した結果の流れを見ることもできるでしょう。
だからこそ、占い師はお客様を信頼しながら伴走し続けるのです。
相談者を占い依存にさせないためにも、読み取れることを誤魔化さずに、ポジティブに変えようとせず、淡々と伝えることを旨とする。そして、変化の兆しが訪れるまでの間は相談者に寄り添いながら伴走する。
「聞いてほしい」という想いに応えられるのも、占い師の役割のひとつではないかと思います。
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