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タロット「吊るされた男」からのメッセージ|とまる、ことも大事にね

もう十数年前になりますが、NLPのトレーニングを集中的に積んでいた時期があります。

務めていた数百億規模の再開発事業が佳境に迫り、仕事自体は好きでやりがいはあったのですが、あまりにも忙しく他に目を向ける余裕がない日々のなか、生まれたときから片親の小学3年生になる子供の担任との面談で、ようやく彼女の異変に気付いたときのことです。

その頃に学んだことは今の仕事でも役立つことばかりなのですが……特にこの言葉は、今でもひとつの指針になっています。それは

思考を変え行動を変化させ「動く」ことなしに現実は変わらない

という言葉です。

この言葉の中には

「ほんの些細な小さな不満も、起る出来事の理不尽さも、自分にとって居心地が悪くて不都合だと思うならば、これまでの考え方ややり方を変えて動いていけばいい」

という表現が含まれているのですが、意識の変容についてのノウハウを教わってからというもの、この言葉は私にとってひとつの拠り所になりました。

それから十数年……タロットと親しんでからというもの、この言葉の中にある「動く」ということへの理解は、より深まったように思います。

なぜなら、人には「とまる」という行為も必要だということが身に染みたからです。

そしてそれは、まさに「吊るされた男」が教えてくれたものでした。


「行動すれば現実は変わる」

こんな言葉を見聞きする人は多いかもしれませんが、この言葉に嫌悪する人もいるのではないかと思うことがあります。

その言葉が間違っているとは思わない。むしろ正しいことだとも思っている。けれども同時に……

焦りや罪悪感、自信のなさがぐるぐると心の中を駆け回り、気づけば「行動しよう」の言葉が、自分を脅す言葉として聞こえるようになっていませんか?

タロットの展開から「吊るされた男」をよくみるとき

何をしても裏目に出てしまって一向に状況が上向かないとき
愛していた人が自分の目の前からいなくなってしまったとき
体が壊れてしまったとき

状況は様々あれど、どれだけ誰かを恨んでも、泣き言を叫んでみても、その状況がなくなるわけでもなく、いっそうのこと何も感じないようにと願えど思考は留まることなく

悲しみや怒り、焦燥感やいたたまれない気持ちが溢れ出てきては戸惑い取り乱してしまうなかで、何かできることといえば、寝床から起きてトイレに行き、水を飲み、ほんの少し何か食べるものを口にすること……

何のために生きるのかを問うては、死なない自分もいる。

少し落ち着けば「もっと元気を出そう……」とも思えるのだけれど、体は思うように動かない。

たとえ「動くことなしに現実は変わらない」と分かっていても、何をどうしたらいいのかまとまらず、だからといって何もせずにはいられなくて……

そうしてもがけばもがくほど苦しく、何かをやれたとしても気晴らしにもならず、良かったときの思い出と記憶がループをしてくるばかりで、心機一転を図ろうと意気込んだ心はくじけてしまう

焦るばかりで打開策も見いだせず、何をやっても空回りして自己嫌悪のループに入り、それではダメだ!と奮い立たせようとしても体は思うように動いてくれない、

自分以外の人は元気に笑って動いているのに……

自分ひとりだけが、まるで「吊るされた男」のように手足の動きが封じられ身動きができなくなり、頭に血がのぼって思考は鈍り、ただ周りが動いている景色を眺めていることしかできず……

自分の時間だけが止まったように自分ひとりが静止したままに過ごしているような感覚

けれども、そんな時に限って「現実は動くことなしに変わることはない」という言葉が頭に広がり、何もできない、行動に移せない自分が悪いんだ……

その言葉に急かされるような、責められているような感覚に陥り

「そう言われたところで……どうしろというのか……」

矛盾と葛藤が入り乱れる言葉にならない言葉を伴う痛烈な心の叫びを、タロットが見せてくれることがあります。

タロット「吊るされた男」からのアドバイス

タロットの「吊るされた男」と呼ばれるカードには、両手を背中に回し片足は木に結っていて、動くことができない状態の人が描かれています。

キーワードには「犠牲」や「拘束」「苦難」や「自縄自縛」といった言葉が充てられていて、現実的な話となると……

「吊るされた男」が出てくるときは、何をしてもうまくいかず引きこもってしまうような状況を表すことが多く、渦中にいる本人の心情としては「しんどい」とみるのが自然です。

ただ、こういう「吊るされた男」がキーワードとしてアドバイスになる場合もあるのです。

そして、このカードをアドバイスとして読むときは、「吊るされた男」のカードの様子をもう少しじっくり眺めてみるといいです。

「吊るされた男」の見方

人の状態の「正常」が、頭を上に足を地につけている状態とするならば

 「吊るされた男」

「吊るされた男」は足が上に向き頭が下向きの状態にあって、拷問のようでもあり「異常」といえます。

またそれに対して表情は冷静で苦痛に歪んだ様子でもないことから「異常」な状態を受け入れているともいえて、自己犠牲的な意味合いが強まっていき、そこから「奉仕」や「尽くす」「忍耐」といった言葉が派生していきます。

あるいはもう少し精神的な見方もあります。

肉体的にも精神的にも苦しい状態に身を置き修行をするかのように、敢えて自分を「異常」な状態に晒すなかで、自分の運命をどのように生きていこうかの瞑想に入っている様を表現している、という見方です。

ただいずれにしても……

自分から状況を動かすことはできない状態で物事の停滞感を見せてくるカードでもあり、同時に「動かないことを良しとしている」カードともいえて、「止まる」ことが肯定されているのです。

つまり……

そうすることしかできない

のです。それが「いい」とか「わるい」とかではなく「どうしようもないことがある」といい

それしかできない……のだから「そうなさい」

「吊るされた男」が出てくると、そんな声が聞こえてくるようでなりません。

タロット「吊るされた男」から伝わってくること

さてこういうカードが出てくる時は、実際のところ、足掻いても状況は動かないことも多いようです。

「試練に耐える」などの言葉を並べるのは簡単ですが、起こっている問題にどれだけ感情が揺さぶられようと、やれることを淡々とやるしかなく、時間の経過に身を委ね状況が落ち着くのを待つしかない状況です。

私のセッションでは展開に出てくるカード達を説明していくのですが、「吊るされた男」の説明をしていると、ほとんどの相談者さんは落ち着いた様子で「そうですね」と一言、薄々分かっていたことを改めて確認するかのように、どこか安心したような表情で静かに応えてくださいます。

また同時に、このようなアクティブではないカード、不活発な状況を教えてくれるカードが出てくるときは、「待つといい」「休むがいい」という赦しであるように感じることがあります。

思考を変え行動を変化させ「動く」ことなしに現実は変わらない

たとえこれが「理」であったとしても、それは身口意(体と思考と心)が揃ってこそ

心が調うために「とまる」時間を決して無駄だと言わず、自分や大事な人の「いっぽ」を見守ることを教えてくれているようです。

 

ところで……

タロットは道を拓くアイデアをくれるツールではあるのですが、それは決して、イケイケドンドン!と行動力を後押しするばかりではありません。

これからのために「とまる」ことが必要な時は、それも教えてくれます。

今はないのですが、以前は「どうすればいいのかの解決策をタロットから見つけるのがあなたの役割でしょ!」と怒号されるお客様に出会うことがありました。

けれども「どうしようもないものは、どうしようもない」のであって、つまりは「湧いてくるどうしようもない感情を味わう時間を過ごすこと」が「どうすればいい」の応えなのです。

「待つ」や「休む」といった≪とまる≫ことも、「感情を味わいきる」といった感情を見守ることも、自分ができる立派な「Do」なのですが、それを「する」ことは後回しにして「他人」のことばかりに意識が取られているときは、「吊るされた男」が出てきて諭してくれているように思います。

どうしようもないものは
どうしようもない

いい意味での開き直りを教えてくれるのも、タロット、だったりします。

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