鑑定の現場において、たとえば、介護や遠く離れたご両親、あるいはパートナーや自分自身の「物忘れ」に違和感を覚え、占いを訪ねられる相談者さんは少なくありません。
そして、こうしたデリケートな問題に対して、タロットカードは状況を客観的に整理し、本人の不安や家族の心配に寄り添うための強力な道標となります。
「物忘れ」などを表す特徴的なカードたち
タロットには、「物忘れ」といった認知機能の衰えや現実認知の低下を示す特徴的なカードがいくつか存在します。
それはもちろん、直接的に「物忘れ」といった様子が描かれているわけではなく、たとえば……大アルカナの「愚者」と「月」

愚者は「0」の概念を持っているカードで、「あるようでない、ないようである」ことを象徴します。
可能性の塊を秘めているのは確かなのだけれども「まだ何者でもない」のが愚者です。
そして、この「自分自身が何者でもない」「自分が何者かがわからない」という状態を自己喪失や認知の低下として捉えることで、認知機能の衰えた状態を読むことができるのです。
一方

月のカードは現実と夢の境界が曖昧となる「夜」を象徴するようなカードの1枚で、夢想や夢遊、うつろい、といったキーワードが当てられます。
そして、もう一歩踏み込むと「現実がうまく認識できていない様子」として捉えることができるので、ここから、認知機能が衰え現実が曖昧になっている状態を読むことができます。
また小アルカナでは、特に「水」を象徴する「カップ」のカードに注目できます。
たとえば「カップ4」

「感情が止まってしまい、心の動きが感じられない状態」を表し、どこか「迷いのモヤの中にいるようなイメージ」を持ちます。
そして、この「モヤがかかった状態」を認知の状態と捉えることで、「認知にもやがかかっている→認知が曖昧になっている→認知機能が衰えてきている」と読んでいくことができます。
あるいは「カップ7」

「カップ7」は、「ある」ものではなく実体のないものへの憧れを抱く様を教えてくれるカードで、妄想や幻影に囚われる様子をあらわらします。
「水」という「見えないもの」にハマり込んで思考力が鈍ってしまい、考える力が弱まっている状態ともいえるわけですが、この「思考力が鈍っていて考える力が弱まっている状態」を認知機能の衰えとして読むこともあります。
あとは……コートカードの「ペイジ」の逆位置(リバース)
「ペイジ」は「子供性」を表しますが、これが「逆位置」になっているところから、「子どもではない人が子ども返りをしている」様子として捉えることで、認知能力の低下をみるわけです。
セッションの進め方
認知機能の衰えがテーマになるときは、このように、タロットカードの象意から「シグナル」を掴むことは大事で、またカードの様子から、どの程度進んでいるのか、を図ります。
たとえば、大アルカナより小アルカナの方が、その程度は「軽い」とみてもいいでしょうし、小アルカナの数字の大小から、その程度を読むこともできます。
とはいえ、これはとてもデリケートなテーマですから、いくらタロットから認知に関わるシグナルを捉えたとしても、とにもかくにも大事なことは、丁寧なヒアリングで背景を把握することです。
また相談者さんに伝えるときの表現も、よくよく考えたいところ。
なぜなら、「占い」に来られているということは、相談者さんはなにも、医療的な診断が欲しいわけではないはずだからです。
認知機能の衰えがテーマになるときに大事なこと
たとえば、相談者さん自身が自分の認知の衰えを気にして訪ねてこられた場合
家族から「大丈夫? 忘れ物ない? 鍵はちゃんと閉めた?」「また道に迷いそうになったんだって??」と言われるたびに「そんな頼りなくないよ!まだまだ大丈夫!」と返す相談者さん
その言葉の中に、たとえば、言葉にできない本人の焦りや不安が含まれているならば……タロットは、そんな家族にも見せない深層心理のグラデーションを驚くほど見事にみせてくれます。
一方、相談者さんが家族の様子を心配して訪ねてこられた場合でも同じです。
そこにあるのは、家族の様子が変わっていくのを目の当たりにせざるを得ないなかで、これからの不安や心配などの心の重圧だったりプレッシャーに押しつぶされそうになる心の痛みだと思うから……
占いは、そういう部分に寄り添えるものだからこそ、カードを読むことは大前提としても、まずは相談者さんに不安事や心配事を吐き切ってもらうことが大事ではないかと、私は思います。


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