最近、いろいろなところでAIが実用されている様子をみかけるようになりました。
いっとき「AIに人の仕事が奪われる」といった話題が大きく取り上げられ、今や「占い」の領域にも浸透してきているAIですが、個人的な実感覚として、特にタロットリーディングにおける人の可能性はまだまだ多分にあるように感じています。
膨大なデータ処理だけでは解けないものが、そこにあるからだと思います。
とはいえ、やっぱりAIが仕事の効率性を高めてくれるのは確かで、AIを搭載した解析ツールを使って調べ物をすることがよくあります。
たとえば占い業界の動向を探るために、どんな言葉がネット上で影響を持つのかなども調べられるのですが、「占い」関連の言葉となれば、「よく当たる」や「驚愕の的中率!」などという謳い文句は人の関心を集めるようです。
ほんとうに「あたる」かどうかはさておいても、このような言葉が日本の「占い」業界の広告宣伝文句として使われるのは今に始まったわけもないのですが、その影響力は大きいようで、現にインターネット上の広告などで目にする人も多いのではないかと思います。
つまり、このような「よく当たる」とか「的中率がいい」といった言葉が人の関心を引くことはデータ解析によって明らかになっているわけですが、ある意味、それだけ未来予知的な占いに惹かれる人が多い、ということでもあると思います。
そこで今回は、このように多くの人の関心を引き寄せる「未来予知」をテーマに綴ってみたいと思います。
「未来予知」とはなんだろう……
たとえば
未来予知に「いい」ことが出てきたとしても、その状態がずっと続くわけでもなく、むしろ、そこから悲劇に転ずる可能性がないわけでもありません。
彼からの連絡が来るかどうか、を心待ちにしている人に「3日後には彼から連絡が来る」という近未来的な予知が見えたとして、1ヶ月後にまた連絡が途絶え彼の浮気が発覚して泥沼に陥る……
なんてことはいくらでもあるわけですから、どの程度の「未来」にフォーカスを当てるかによっても読めることが変わってきます。
またなにより、未来予知、というものに対しては「自己言及のパラドクス」が生じるため、完全な未来予知というものは原理的にありえないわけです。
つまり、「こうなります」と予知されたものをそうなる前に知らされたとき、予知された未来そのものを変えようと動けばその未来は変わっていく、わけです。
また「こうなります」と予知された未来のとおりに動かなければ、その未来になることはない、ともいえます。
いずれにしても、「こうなります」という未来になるにも、「何をどのようにするのか」といった判断と行動が常に付きまとうのです。
そして、占いから「こうなります」ということはできても、「何をどのようにするのか」という判断と行動はその未来予知をされた人しだいで、それは占いの専門外。
つまるところ、未来予知が「あたる」ためには、占い師ではなく、未来予知を知らされた人自身の判断力と行動力にかかっている、ということですから……
占いが「あたる」のは占い師がすごいというよりも、そのように判断と行動をした人がすごい、はずなのです。
とはいえ……多くの人の関心を引き寄せてやまない「未来予知」
この「未来予知」とは、いったい何なのだろうか……?
そんなことを考えると浮かんでくるのが、「月」というタロットカードです。
「未来予知」に関わるタロットの「月」
どんな未来が見えようと、それはまだ朧気で確たるものでもなく、そこに向かって歩くにもどんなトラップがあるかもわからない……
もしかすると、騙されて心身ともに喰われてしまうかもしれないし、その時だけ「いい」ようにされてあとは捨てられるかもしれない
あるいは、未来に向かって歩く自分を守ってくれる何かがあって無事にたどり着けるかもしれない
何があるのかわからないなかで未来にみえるその先を歩くにも、疑心と不安で心は揺らぐ……それでも。
その先の一歩を踏み出していけるかを問うものが「未来予知」なのだと、私は思います。
タロットの「月」の見方
さて上記にご紹介しているタロットカードは「月」と呼ばれるカードで、一般的には「不安」「迷い」「インスピレーション」といった解釈をされています。
特に感情面での不安定さや揺れ具合を表現されることが多いのですが、それは、地球からみて月が満ち欠けしている「ようにみえる」から
「実態がはっきりとせず曖昧で不確実なもの」に対する心理的な様子を表しているともいえます。
また陰陽でいうところの「陽」を象徴するのが「太陽」だとしたら、「陰」を象徴するのが「月」
そのため「月」のカードでは、「陰」の質ともいえる感情や潜在力との関係性が強調されて読まれることがあります。
もちろん「月」の絵柄にも、物事がはっきりしない曖昧さや不確実性に加え「陰」の表現はあるのですが、もう少し掘り下げてみると……
●水の表面に現れるザリガニは、潜在意識に沈んでいる本能、であり
●月に照らされた建物は、ザリガニからみえる未来
●そこまでの道は、未来に向かう道、であり
●けれども道に向かうまでの陸に上がったところで待ち構えている犬は、人にとっては「守り」の象徴とはいえ、ザリガニにとっては喰われてしまうかもしれない天敵にもなりうるし、もちろんザリガニを守る存在にもなりうるもの
このような構図が見えてきます。
そしてこのような「月」のカードが教えてくれることとなれば……
「月」のカードが教えてくれる未来予知
潜在意識の中からムクムクと呼び覚まされた本能は、おぼろげながらも未来が見えていて、そのためには陸に上がらなければならず、けれども、そこには敵か味方かわからない存在もいる。
もちろん、そこは暗闇の中にあって他にまだ何があるのかもわからない。
そんな感情的な不安と迷いのなかで揺れていても、ただ、月明かりに照らさた「未来」は見えている。
「さぁ、あなたなら……どうする?」
タロットの「月」は、こんなことを教えてくれるカードでもあります。
つまり……いずれにせよ、「やる」か「やらない」かの判断と実際の行動はその人にしかできないわけです。
そして、いくら占いから「こうなります」と未来予知が見えたとしても、その時々に出会う「物事人」に対して「何をどのようにするのか」しだいで如何様にも変わるというもの。
それは「月」が示す揺らぎのように曖昧で、それぐらい不確実なのが未来予知、ともいえるでしょう。
でもだからこそ
そうなるために/そうならないために「何ができるのか」の対策は大事で
どうせタロットを読むならば、未来予知だけではなく「何をどうできるのか」を読み解けるといいわけです。
なぜなら、それらはタロットで読めるものなのですから。
タロットが読み取る、未来
「短期的に都合がいいことも長期的には都合がわるくなる」
「短期的に都合がわるいことも長期的には都合がよくなる」
タロットから読み取る時間感覚によって見えてくる未来の程度は異なります。
また、どんなに都合のいい未来でも、どんなに都合のわるい未来でも
その時々に起こる出来事に対して、何をどのように判断し動くのか、によって予知された未来そのものが変わることがある
だからこそ
予知された未来に対して
何をどのように選択し動くのか
けれども同時に、その選択と行動に影響を与える
ことは、「月」のカードが教えてくれている通り。
本能でわかっていても体がそのように動いてくれないことはよくあることで、情動がかみ合わず選択と行動が常に順風満帆とは限らないからこそ悩んでしまうのは、感情を持つ人だから、なのでしょう。
人は、ロボットのようにプログラムされた型や指示通りに全く動けるわけでもないのです。
そのため私は、「タロットを単なる未来予知の道具にするのではなく、未来予知に対して動くアイデアをくれるツールとして親しんでみませんか?」とおすすめしたくなるのかもしれません。
さて
どんな道具もそれを扱う人の意図しだいで使い勝手が変わってきます。
タロットを、未来予知に対してアイデアをくれるツールとして親しめば、「月」のカードを単なる「不安」や「迷い」といった一般的な解釈に留まることなく、感情の揺れとの付き合い方を教えてくれるアドバイスとして汲み取れるようになります。
またそうしてタロットと親しめば、どのカードでも、一般的な意味に拘ってしまうと見えないことが、だんだん見えてくるようになります。
未来予知とは「そういう未来があるとしたら自分はどうしたい?」を考えるきっかけをくれるもの
そしてタロットは、人の心の動きの変化をも汲み取りながら「どうしたらいいのか」のアイデアをくれるもの
どんな未来が予知されようと、感情の動きを度外視して動くことの難しさを教えてくれるのも、タロットならではだと私は思います。
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